褒めたと思えばまたこれだ
今年もあとわずかということで、色々なテレビや雑誌で今年1年を振り返っている。スポーツでもトリノオリンピックにWBC、ワールドカップと世界的イベントが続いた年だった。ワールドカップはドイツで開催されたが、ドイツは見事3位に入った。開催国の面目躍如といったところだったが、それまでの道のりは順調とはいえなかった。1番大きな問題だったのが正GK争いだった。バイエルン所属のカーンと、アーセナル所属のレーマンのどちらが正GKに選ばれるのか、当時監督のクリンスマンは開幕直前の4月まで、どちらを本番に使うかを決めなかった。結局クリンスマンが選んだのはレーマンであり、カーンは控えとなった。これまでの経緯や本人の性格からして批判を口にするのかと思えば、まったく反対の態度で「正直失望したが、たとえ控えでも参加することがドイツのためになるだろうと考えた。 監督の決定を受け入れた以上、チームを、そしてレーマンを支えていく。」と、優等生のコメントを残していた。ここ数年は妊娠中の妻を残し不倫したり、プレーにも精彩を欠き、メディアから批判を受けていたカーンだったが、この一言で、特にドイツのメディアから喝采を受けていた。あれから8ヶ月、インタビューに答えたカーンは当時を振り返って、このようにコメントしている。「レーマンを批判するつもりはないが、 俺が出ていればドイツは優勝していただろう。 俺は94年、カールスルーエでUEFA杯で準決勝進出を果たした。 その後バイエルンに移籍し、99年にはCLで“カンプノウの奇蹟”という屈辱を味わった。 02年のワールドカップでも決勝でブラジルに敗れてしまっている。 だからこそ06年で俺は出場すべきだったと今は考えている。 クリンスマンにもこの思いは伝えたが、 彼は俺の話に聞く耳を持たなかったのさ。」せっかくあの時は褒めてもらってたんだから、今更話を蒸し返す必要なんてまったくないのである。カーン自身はこれらの裏返しで、自分が出れば優勝できると考えたのだろうが、こういうことってなぜか続くものである。もしかしたらクリンスマンはそれが分かっていたから、レーマンを選んだのだろうか。そもそも99年のCL決勝と02年のワールドカップでは準優勝に終わっているが、01年のCLではPK戦にもつれ込んだが、自身のセーブで優勝を果たしている。また国内リーグでも数々のトロフィーをクラブにもたらしてもいる。GKという特殊なポジションではあるものの、10年以上も第一線で活躍し、バイエルンの、そしてドイツの守護神であり続けるカーン。不倫が明るみに出たときと同じように、今回も裏の顔はこうだったようだ。性格はやはり、治るものではない。ほな、また。