答えはロンドンのピッチに
まるで数年来そこでプレーしているように、アマウリはユベントスにフィットしている。デルピエロとの連携も問題なく、彼の好調も手伝って良い意味で自由にプレー出来ているのではないだろうか。クラブには怪我で戦列を離れているトレゼゲという昨シーズンまでの正FWもいるが、その存在感さえ消してしまうほどアマウリはユベントスに欠かせない選手となっている。何もアマウリ賛美を語りたいのではない。言い方は悪いが個人的にユベントスファンではないし、この活躍を前々から予想していたわけでもない。ただ、ここまで好調を維持していると注目しないわけにはいかず、それは素人だけではなく関係者も同様である。ブラジル国籍のアマウリだが、ブラジル代表歴は過去一度もない。そして現在はイタリアに住んでおり、奥さんがイタリア人ということでイタリアのパスポートも所有している。つまりは二重国籍である。そうなるとリッピ・イタリア代表監督、ドゥンガ・ブラジル代表監督共にアマウリを代表に招集したいと考えても不思議ではない。両国とも前線に優れた選手を揃えてはいるものの、だから旬の選手でも必要ないという結論には至らない。アマウリがどちらかを選ぶなら、彼らは喜んで代表招集枠にアマウリの名を付け加えるだろう。しかしながら、そのアマウリ自身が態度をはっきりさせていない。いや、もしかしたら既に心の中ではどちらの招集に応じるか決断を下しているかもしれない。ただマスコミに対しては「どちらかの代表から正式な招集があれば決定を下し、態度をはっきりさせる」と語り、それまでは一切のコメントを残さないとしている。そう語った以後もメディアでは噂が噂を呼んでいるが、それも当然だ。アマウリが語らない以上メディアは推測で語るしかなく、それが自国代表のエースFW候補とあれば尚更である。もしも自身の中で決断が下されているのなら、それを周囲に伝えたほうが噂話は消えうせ、類の煩わしさから解消されると思うのはぼくだけだろうか。もちろん決断の理由や今後の在り方など別の注目を集めることにはなるのだが、デタラメの噂でまとわりつかれるよりは、決断を公表することで後はサッカー協会に身を委ねたほうが自身のプレーにも集中できるのではないだろうか。まぁそうは言っても決めるのはアマウリ自身だ。今年最初の親善試合は2月10日、エミレーツ・スタジアムで行われるイタリア対ブラジル戦だ。ロンドンのピッチでアマウリが着るシャツの色は“アズーリ”なのか、それとも“セレソン”なのか。『答えはピッチの中にある』ほな、また。