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古書窟揚羽堂 ~ 古本屋残酷物語

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2007年04月27日
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カテゴリ:しあわせ
去年の今日4/27は拙著「古本屋残酷物語」が平安工房より出版された日である。

あれから一年か・・・早いなぁ

この記念日、なんかいい事がありそうな気がする、と思いながら歩いていたら
庶民の味方である【クリハラ不動産】のクリハラ社長とバッタリ逢った。

この蓮沼の事務所を借りてもうすぐ2年。そろそろ契約更新の時期である。

「実はご相談がございまして・・・」と切り出すボク。

当事務所は

事務所正面
コレである。

この建物は

事務所全体

こうなっていて、小生の事務所はこの右側の1階部分のみを借りている。

問題は

事務所2階

この誰も住んでいない2階部分である。
1階の奥に階段があり、外からは入れない造りである。
鍵が掛かっている為、今は開かずの階になっている。
もちろん私も一度も上を見た事が無い。

クリハラ社長に相談とはこの事であった。
「2階部分もお安く借りたいのですが大家さんに聞いてもらえませんでしょうか・・・」

社長は一瞬険しく眉を寄せ、何かを考えているようであったが、やがてその何かを決意したかのように、僕にこう言った。
「じゃあ、一度見てみますか。ただし、後悔する事になるかも知れませんよ」

胸が騒いだ。

午後3時、鍵を持ったクリハラ社長が事務所にやってきた。
魔界への入り口を塞いでいた荷物はすでに僕が片付けていた。

ドア 閉

左側が2階へのドア、中央は不明、右側は毎日何度も使用しているW.Cのドアである。

「じゃあ開けますよ」

魔界への入り口

ドキドキ

階段

急な階段は数年ぶりに人に踏まれる事への歓喜か苦痛かは分からぬが、一段一段、キィキィ軋み声をあげた。

2階

2階はこんな感じであった。

クリハラ社長が語る。
「元々、印刷屋さんが入っていて1階が仕事場でこの2階に住んでいたのです。
その方が出られた時に1,2階ともリフォームしても新しい借り手が使いにくいだろうとリフォームを1階のみにしたんです。」

「なるほど。」
あれこれ思案しながら隅々までチェックする僕。奥に行ってみると・・・

2階の奥

流し台まで一応ある。しかし例え、水が流れたにせよ、この水で手を洗えるだろうか・・・

2階の壁

壁はこんな感じだ。

おや、と近づくと・・・

ウルトラマンの涙

壁に貼られたスーパーヒーローが泣いていた。
その落莫とした無念さが見ている私の郷愁を哀しく貫く。

「どっこい寂しがり屋はこっちにもいるぜ」
そんなつよがりが確かに聴こえた。横を向くと・・・

落書き

I Like Terry Funk 、I Love Terry Funk とペイントマーカーで描かれた孤独のメッセージだった。

急に海が見たくなり、窓辺に立つ私。

2階から見た風景

もちろん海は無かった。

社長と私は無言のまま階下に降りた。
しかし闘いは終わってはいない。
開けてはいけないパンドラの箱はもう一つある。

中央のドアである。

「ここは何ですか」

「開けてみましょう。ただし、後悔する事になるかも知れませんよ」

胸が裂けそうになった。


ドア 開

なんと、そこは・・・

お風呂2

お風呂だった・・・
仄暗い水の底から・・・を思い起こさせるムードがある。

「中に入りますか?」

「いや、ここから見るだけで結構です。」

しばらく眺めたのち、鍵を閉めてもらった。

煙草が吸いたいと思った。

毎日過ごしていた頭上と、毎日大小の便を流していた真隣りにこんな廃墟空間があったとは・・・

その老朽ぶりは想像通りといえばその通りなのだが、頭で考えるソコと肉眼で見たソコとはインパクトが違う。

めまいを覚えた私は煙草に火をつけてとりあえず思考を反復した。

でも別に人が死んだ訳ではないし、上で生活する訳でもない。在庫を置きたいだけである。
今、南部会館に借りているロッカー代が月額¥8000か。
あのお風呂だけでロッカースペースの2倍はある。

2階はバルサン焚いたのち、掃除をして絨毯を変えれば何の問題もない。
問題といえば、あまり量を置くと床が抜けるかも知れぬので、ポスターだとか民芸品だとか、
軽いが保管に厄介なものをメインとしよう。

1本の煙草がニコチンだけでなく、元気を体内に運んでくれたのかも知れぬ。

「社長、大家さんに1万円増しで交渉お願いします。2階とお風呂分込みで!」

クリハラ社長はニタリと笑みを浮かべ、「それではこれから交渉してきましょう」と言って去った。
私には「あなたの願いは聞き届けられました」と聴こえた。

その5分後、社長が現われ、右手の親指をまるで天空を凌ぐかの如き、グイと突き上げ、
「OKです。もう今日から使っていいそうです。新家賃は更新の時からでいいです。ハイ、これ鍵」
と言って去られた。
私は見送りながら、デキる男の後ろ姿はどうしてこんなに美しいのだろう、と思った。

やったぜ!本日4/27の拙著出版記念日に6坪の私の領土が1万円増しで倍の12坪に拡張した!
12坪って何でも出来る気がするなぁ 
やっぱりな~、なんかいい事あると思ったんだ、今日は。ウム、間違ってなかった!

急いで大家さんの所に来月分の家賃を支払いに行き、熱くお礼を述べる。

さあ!明日はバルサン焚くゾ~

クリハラ社長、そして大家様、ありがとうございました!




























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最終更新日  2007年04月27日 20時03分36秒
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