新日本製鐵(株)【
東証1部:5401】の宗岡正二社長は朝日新聞のインタビューで、鋼材価格を1トン約3万円引き上げ、史上最高の約11万円に値上げする方針を正式表明した。温室効果ガスの排出削減の枠組み次第では、国内生産の拡大を抑えざるを得ない、との考えも示した。
――現在の経営環境をどうとらえていますか。
景況感の悪化と資源高、二酸化炭素の排出削減という三つの問題に直面している。
――資源高への対応は。
鉄鉱石、石炭などが軒並み急騰し、08年度の調達コストは新日鉄だけで07年度より約1兆円も上がる。顧客に1トン3万円の値上げを要請する。顧客と協力して鋼板の種類を減らすなどコスト圧縮にも努めるが、時間がかかるし、吸収し切れる金額でもない。
――京都議定書の約束期間(08~12年)以降の温室効果ガス排出削減の枠組みは、生産計画にどう影響しますか。
日本での鉄鋼生産コストを大幅に押し上げる枠組みになれば、国内での生産能力増強は考え直し、海外に移さざるを得ない。来春に予定する大分製鉄所(大分市)の高炉の拡大改修までは変更の余地がないが、以降の君津製鉄所(千葉県君津市)や八幡製鉄所(北九州市)の増強は、ポスト京都の枠組み次第だ。
――海外ではブラジルに高炉を造るほか、タイ政府の誘致にも応募しました。
ブラジルは地理的に日本からの輸出先とすみ分けでき、グローバル生産の拠点とする。東南アジアの中心にあるタイは、東アジアも含む地域で最も製鉄所が必要な国だ。現地の日系自動車・家電大手は、新日鉄の得意な高級鋼材を必要としている。まず年産300万~400万トンの高炉を1本造り、2本目以降や加工ラインの設置も順次進めたい。需要が伸びるインドへの輸出も視野に入れている。
――タイの誘致には世界最大手のアルセロール・ミッタルやJFEスチール、中国・宝鋼集団も応募しています。
新日鉄には高い高炉建設の能力があり、韓国や中国で建設に協力した実績もある。(買収で巨大になった)ミッタルに、そうした能力があるのかどうかは分からない。(聞き手・山本精作)
朝日新聞 - 2008年4月22日
関連ページ
中国自動車用鋼板、生産ライン増設を検討 - 2008年04月22日
資源高騰、コスト1兆円増 - 2008年04月22日
関連サイト
新日本製鐵株式会社
新日本製鐵 - Wikipedia
関連ニュース
室蘭の新日鉄グループ2社が、4月に合併へ 2008年2月28日
シャープ、シリコン内部調達拡大・太陽電池原料を確保 2008年2月27日
新日鉄化学、DVB増強計画を再始動 2008年2月26日
新日鉄八幡熱延工場が操業停止、十数万トン減産の見通し - 2008年2月26日
新日鉄と住友商事、三井鉱山の同率筆頭株主に - 2008年2月21日
株価
Yahoo!ファイナンス - 5401.t
5401 新日本製鐵(株) 新日鉄 NIKKEI NET 株価サーチ
新日本製鐵(東京証券取引所)
株価 5401:新日本製鐵 - Infoseek マネー
株価ジャッジ | 新日本製鐵 (5401)