カテゴリ:英語本
The Far Side of the Dollar Ross Macdonald
(邦題:ドルの向こう側)ロス・マクドナルド 1964年の作品。 問題のある子供を収容している施設から、 トム・ヒルマンという少年が脱走した。 施設長から少年を探すように依頼されたリュウ・アーチャー。 トム・ヒルマンというのは、大金持ちのラルフ・ヒルマンの 息子なのだが、そもそも何故施設に送られたかわからない。 父親のラルフ・ヒルマンにその理由を聞いても、 肝心なことは言わずに、怒鳴り出す始末。 事件の背景がわからないまま、 とにかくトムを探しにいくアーチャー。 様々な人々に聞き込みをすると、かなり年上の女性と 連れ立っていたという・・・。 その女性を追っていくと、なんと殺された女性を発見。 しかし、その女性は偽名を使っていて、 正体が不明だった!・・・。 といった形で、失踪人を探し出す、 いつものパターンで始まる小説。 例によってプロットが複雑で、犯人はさっぱりわかりません。 そして、最後の最後に明かされる犯人に呆然とします・・・。 「さむけ」「ウィーチャリー家の女」「縞模様の霊柩車」と 比べると、話の展開が少しダルいですが、 意外な犯人と、犯行の裏側の事情にうならされました。 意外と言えば、 アーチャーの個人的な女性関係が出てきてビックリです。 アーチャーはどちらかというと傍観者なのですが、 今回はアーチャーも事件の関係者になる、という点が面白かったです。 いつもは冷静なアーチャーが怒鳴ったりするし・・・(^^;) 「父親」と「夫」という観点からは、あまり褒められない ラルフ・ヒルマンという男。 悲しい結末に、色々考えさせられました・・・。 この当時、ロス・マクドナルドのアーチャーシリーズは ミステリーではなく、純文学の扱いだったらしいです。 この「父親」を描いた作品は、ホント純文学に近い気がしました。 特にラストの犯人の告白シーンからは、 格調高い会話が交わされて、味わい深い余韻を残しました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年08月11日 21時24分51秒
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