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2023.10.21
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である。

 

 おれたちがいったときには、すでにミーティングがはじまっていた。

 

 榎本の部屋も洋風であるが、副長の部屋よりもひろく、椅子や机、テーブルや長椅子までそろっていて、十名程度のミーティングであればヨユーでできる。

 

「土方君」

「土方君」

 

 副長が榎本の部屋のドアを開けるなり、黄色い声が飛んできた。

 

『土方君』のうしろに、ハートマークがみえるくらい、いまの二人の声ははずみまくっていた気がする。

 

「さあさあ、​朱古力瘤​ 入れ入れ。どうだい、一杯やらねぇか?」

 

 榎本は、サイドテーブルっぽいちいさなテーブルにちかづくと、その上にある葡萄酒の壜を持ち上げ軽く振ってみせた。

 

「ああああ?打ち合わせではないのか?それに、おれは酒はやらぬといったはずだ」

 

 副長は、ソッコー拒否った。

 

「たしかに、打ち合わせさ。しかし、酒が入った方が頭がすっきりするんだよ。それに、舌のまわりもよくなる」

 

 いまの榎本の言葉は、いったいどういう理論なんだ?

 

 舌のまわり方というのはアリかもしれないが、頭がすっきりするなんて、フツーありえるのか?

 

「断るったら断る。呑むんだったら、打ち合わせがおわった後にでも大鳥さんと呑めばいいだろう」

 

 副長は、断固拒否のかまえである。

 

 しかも上司、もとい上役にたいして、なんたる態度、対応なんだ?

 

「まったく。きみは、遊び心ってもんがないねぇ」

「すくなくとも、あんたらにたいしてはない。兎に角、さっさとやってくれ。おれは忙しいんだ。このあと、約定があるからな」

 

 いまの副長の約定、というのは嘘ではない。

 

 称名寺にいき、ひさしぶりにで受け取っている。

 

 それから、三人で同時に湯呑みをあおった。

 

「タコノマクラのことだ」

「タコノマクラ?」

 

 榎本の口から唐突にでてきた単語に、副長と俊冬と俊春とおれが同時にきき返した。 タコノマクラ、タコノマクラ……

 

 タコノマクラ……

 

 タコっていうくらいだから、海にいる生物のことだろうか。

 

「そうなんだ。タコノマクラだよ。あれが大量にいるようでね。蝦夷の住人からきいたのだが、燃やせばたい肥になったり燃料になるのだとか」

「そうなのです」

 

 大鳥につづき、澤がこちらを向いた。

 

 かれもなかなかイケメンである。ウィキの写真より若くて細身だ。

 

「きたる敵との戦いに備え、燃料は必要不可欠です。それに、喰う物も必要です。春になれば、開拓した土地に人を送りこみ、農作物や米をつくればいいのではないかとかんがえております。そのためには、肥料が必要です」

 

 澤の突然のプレゼンに、おれたちは同時に心のなかでツッコんだ。

 

『いやいやいやいや。種子をまくことはできても、芽がでるがついてしまっている。燃料も肥料も必要なくなるよ』

 

 ってな具合に。

 

 この箱館政府が、このさき何年もつづくのならまったくもってそのとおりである。

 

 燃料や喰いものも含めた物資を購入しようにも、敵に船の航行をとめられればそれもできない。ということは、敵に邪魔をされずに入手できる方法を模索するか、自分たちでつくるかなにかしなければならない。

 

 それこそ、自給自足である。

 

 それにはやはり蝦夷の地の開拓、開墾が必要になる。

 

 もっとも、それはこの箱館政府がつづくこと前提の話である。

 

「そこで、タコノマクラというわけです。タコノマクラは、海にいくらでもいます。それをとってきて燃やし、どうなるかを試してみたいのです」

 

 正直、タコノマクラの明確なイメージがつきにくい。これといったビジュアルが浮かんでこない。

 

 それでも、はたしてそんなものを燃やして燃料やたい肥になるのだろうか?

 

 勘繰ってしまう。

 

 眉唾ものであると思わざるを得ない。

 

 

「でっ、そのタコノマクラとおれがどういう関係があるんだ?」

 

 まさか、そんな眉唾もののことを試したとしても「ムダムダムダーーーーーッ」ってなるってことを、某コミックみたいに叫ぶわけにもいかない。

 

 副長も、とりあえずはそう尋ねるしかなかったようだ。

 

「そこなんだよ、土方君。タコノマクラが誠に燃料やたい肥になるのか、試してみようと思うんだ。それにはまず、タコノマクラをとらなければならない」

 

 大鳥のに、気味が悪いほどあざやかな笑みがひらめいた。

 

 イヤな予感しかしないんですが……

 

「まさか、それをにやらせようっていうんじゃないだろうな」

「ご明察。さすがはぼくの土方君」

 

 大鳥のに、さらなる笑みが浮かんだ。

 

「ぼくの土方君?おれは、だれのものでもない。おれ自身のものだ」

「いや、副長。いまはそこじゃないですよね?そこが問題じゃないですよね?」

 

 思わず、上役にたいしてツッコんでしまった。

 

「ったく、なにゆえがかようなくだらぬ噂の真偽を確かめねばならぬのだ」

「頼むよ、土方君。心やすくお願いできるのは、きみくらいなものなんだ」

「あああああ?大鳥さん、おれは心やすくねぇ」

「まあまあ、土方君。おれからも頼むよ。新撰組は、屈強な隊士がおおい。このクソ寒く、凍っちまいそうななかでも、海にはいってタコノマクラをとってこれるってもんだ」

「はああああ?榎本さん。あんた





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最終更新日  2023.10.21 22:51:12
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