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カテゴリ:雑感
窮極の愛の物語で、たぶんこんな愛は、フィクションの中にしか存在しない。
主人公の心情をたどりながら、ふと「ニ都物語」を連想した。あれもまた窮極の愛の物語だから。 推理小説としては、つっこみたくなるところもけっこうあるのだが、とにかく主人公のキャラとその愛の形が透明でせつなくて、おすすめの本である。 ところで小説の標題になっている容疑者Xというのは何なのだろうか。 主人公を意味しているとともに、Xというのは数学の世界では変数を意味する。 数学者である主人公の完璧な計画が変数Xによって徐々に狂ってくる。そんな含意もあるのかもしれない。 ※ 「博士の愛した数学」もそうだけれども、小説の世界では最近数学者がはやっている。 単なる「頭がいい」というのとは違って、「数学ができる」というのにはさらに別の意味があるように思う。もちろん「数学のできる」人は頭がよいのだが、いわゆる「頭がいい」人が皆数学ができるというわけではない。なんか「数学ができる」というのは凡人集団の「頭がいい」からさらに一線越えているような感じがする。それはちょうど、原始社会や古代社会で呪術師や霊的能力があるとされた人に人々が感じたであろうと同じような畏怖と尊敬の感覚が「数学者」という言葉にはこめられているのではないか。だからこそ「博士の愛した数学」や「容疑者Xの献身」の数学者が世間的にはかなり変な人であっても、十分に魅力的な人物造形になっているのではないかと思う。 ※※ ところでこんなサイトをみつけた。 これって本物なのだろうか。 http://wibo.m78.com/clip/img/127420.jpg これ自体はどうでもよいことだと思うが、マスコミ人士が一般人をどうみているかという感覚はなんかよくわかる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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