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税制改正についての新聞の論調はおどろくほど似ている。
法人税減税は結構だが、個人増税はけしからん、広く公平にとる消費税の議論をすべきではないか…と。 そしてその増税にしても、富裕層狙い撃ちの増税は経済の活力をそぐ、消費をけん引している層を増税すればますます不況になる、ひいては金持ちが日本を見限って海外に行くということを書いている社説まである。 相続税増税といったって、あのバブルの時代に減税したものをいくらか元に戻すだけで別に大騒ぎするほどでもない。 高所得者の増税にしても、累進税率が緩和され高所得者の税負担が軽減された時にはほとんどニュースにも議論にもならなかったのに、これほど騒ぐのは均衡を失している。 だいたい今度の税制改正案は累進税率には手をつけていない。 給与所得控除や成年扶養控除の所得制限で「富裕層狙い撃ち」というのは大げさではないか。この案だと、たぶん本当に負担が増えるのは失業中の成年子をかかえている金持ちでもない世帯(成年扶養控除は年収568万円強で廃止縮小)で、本当の富裕層の負担がそれほど増えるとも思えない。 そしてまた、いつもの「金持ちが逃げ出す」論。 これはけっこうあちこちでいわれているみたいだし、某評論家など「高所得者に課税すれば海外にでていかれないバカな奴ばかりが残り、優秀人材は皆出て行ってしまう」などという極論を書いているのをみたことがある。 * 税制全体の話は大きくなりすぎて手に負えないが、この「金持ちが逃げ出す」論ってよく考えればおかしい。 だって高収入を得ている人のほとんどは日本に住んでいるから高収入を得ているのであって、安い税金のためだけに海外にいくわけはない。 そんなことをしたら収入を失うか、交通費だけで足がでるかのどちらかだろう。 大企業の役員が会議の時だけ国際線で帰国するなんてことはありえない。 日本で売れっ子の評論家や文化人は日本にいて顔を売っているから売れっ子でありつづけるのであって、海外にでたらすぐに忘れられるであろう。 もちろん海外でもやっていける一流のスポーツ選手や芸術家、研究者などは、今までも、そしてこれからも海外にいくであろうが、それは別に「税金」が理由ではない。 だから単純に金持ちが逃げ出すから高所得者への増税反対だなんていう笛に踊る前によく考える必要がある。 * 格差是正という方向では、この税制改革の方向はよいと思うが、ただ金持ちから税をとっても貧困層が豊かになるわけではない。 最終的には貧困対策は雇用政策、労働政策によるしかない。 失業の問題、ワーキングプアの問題、過労死の問題…こうしたものにももっと目をむけてほしいものである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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