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カテゴリ:神社
日本にはいったいいくつの神社があるのだろう。
そうした神社の中でもたぶん一番多いのは稲荷神社だろう。 穀物・食物の神を主祭神としているのでたいていは五穀豊穣を祈願するのだが、都市にはそれ以外の御利益の神社もある。出世稲荷神社はあちらこちらにあるし、鉄砲百人組が住んでいたとされる新宿百人町には鉄砲の命中祈願を行ったという皆中稲荷というのもある。 また、日本では人が神になることもしばしばあるが、稲荷神社の中には、五穀豊穣の神とともに、人も祭神になっているものもある。有名なのはお岩稲荷であるが、そのほかにも八兵衛稲荷というのもあり、この八兵衛という人は江戸時代失火で迷惑をかけたことを悔いて終生防火に尽くした人だという。そういえばお岩も田宮家の賢夫人(四谷怪談の話は創作)だったというし、稲荷神社に祭られているのは神格化された英雄というよりも、どこか庶民のお手本的人物といった趣のあるのが面白い。 * そうした稲荷神社の中にちょっと気になる神社があるので行ってみた。 人の名のようにもみえるのだが、どうもよくわからない。 日本橋茅場町にある純子稲荷である。 http://jinjajin.jp/modules/newdb/detail.php?id=575 由来は、元和2年(1616年)、町奉行所内の千代田稲荷の分霊を勧請したことに始まるという。純子はじゅんこと読み、祭神も豊受媛神(とようけびめ)とならんで純子大神とあるので、純子という人物を祀ったようにもみえる。だが、江戸時代に純子(じゅんこ)などという名前があったのだろうか。人の名は時代とともに変わり、高子とか武彦のようにとても古い時代からあったような名がある反面、真理子とか譲二とかいった近代以前にはありそうもない名もある。純子という名も英語名のJUNEから影響を受けた名で、でてきたのは明治以降のことのように思う。 * 神社の説明板には、純子の由来も純子大神の詳細も何も書いていない。 御利益も、心身健全、家内安全、五穀豊穣、商売繁盛、福徳円満、芸能成就、往来安全と他の稲荷神社と同様である。 大都会の真ん中の小さなお社であるが、入口には赤い鉄柵があり、外からしかお参りできないようになっていること、そして小さなお社に似つかわしくなく、すぐ横には社務所があることも珍しい。 それでも境内には何か清々しい気のようなものを感じ、心をこめて参拝してきた。 全国の純子さん、そしてその御家族、御友人の皆様にどうか幸いがありますように…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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