この4月知合いの女性が第一志望の某大学法学部に入学をした。昔から成績優秀な子と聞いていたし、どんな方面にすすむのかと思っていたのだが、法学部と聞くとなんとなく納得した。
おそらく選択肢はいくらでもあったのだろうし、医学部に進むことも可能だったのかもしれない。ただ、実際、医学部という選択をしようとすれば、医師という職業の大変さや責任の重さ、あるいは単純に血をみるのが嫌だなどの理由で躊躇する人もめずらしくないだろう。そして医療系以外の理系となると、本当に専門を活かそうとすれば大学院レベルまで要求されるし、大学院となれば就職が決まるまでは安定しない生活を余儀なくされる。それに比べると法学部の場合には資格の種類も多いし、各種公務員への門戸も開かれている。ニュースでは公務員志願者が減ったといったことがいわれるが、一般的には、特に女性の場合には公務員が条件のよい職種であることは間違いない。
最近、女子の理科系の比率の低いことを問題視する議論があり、一部の大学では女子受験生を優遇する動きもあるという。その是非はともかくとして、背景には女子が理系を選ばないことがある。一般論であるが、理系のできる女子の場合、文系教科もできる場合も多い。そうだとすれば、実は女子が理系を選ばないというよりも、文系理系両方できる人が理系を選ばなくなっているというのが実態ではないか。いまどき女の子が理系にすすむなんて…ということをいう昭和脳の親が多いとも思えない。
そういえばNHKでプロジェクトXという人気番組があったが、あの番組で取り上げた技術開発に邁進した世代というのは戦争を体験した世代やその少し下の世代が多かった。理系人材は戦時下において徴兵を猶予されるなどして温存されていた上、その下の世代でも理系に行けるものなら理系に行くという雰囲気があったのではないか。そうした厚い人材の層があったからこそ戦後の復興も日本の繁栄も実現できたのではないか。