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カテゴリ:雑感
米国の大統領選の結果のでた日、机の上にあった朝刊の見出しをみると、史上まれにみる接戦、結果判明に数日も…という見出しが躍っていた。たしか、米国大統領選の情勢はマスコミ報道によると大接戦ということであったし、それはおそらくその取材源となった米国の高級紙もこうした論調だったのだろう。 そして結果が判明した後、日本在住の米国人論客の多くが選挙結果に落胆する意見をネットに掲載していた。彼らが米国の世論すべてを代表しているわけではないが、米国のいわゆるインテリ層の意見というのはこうしたものではないのだろうか。 マスコミ人士に代表されるインテリ層や都市型富裕層、そしてハリウッドセレブのような社会的に影響力のある成功者達はほぼ民主党の候補を推していた。一昔、いやふた昔前の選挙だったらここで勝負がついたのだろう。マスコミは社会の木鐸であり、セレブはオピニオンリーダーだったのだから。 でも、時代は変わった。人々はネットというものを手にしたので、自分で情報を探し、自分で意見を形成するようになった。経済が好調だといっても、その富は自分のところには来ない。物価だけはあがり生活は苦しくなるばかりだ。そんなところにエリートの黒人女性が大統領候補をしてでてきて、黒人だから黒人の支持があって当然だ、女性だから女性の支持があって当然だ、ダイバーシティだから女性でマイノリティの大統領はおおいにけっこうではないか…といわれてもねえ、というのが多くの人の感想だったのではないか。マスコミやハリウッドセレブたちがやたらと彼女を支持しているけれども、マスコミ人士もセレブも自分とは別の世界の人間だからなあと思った人も多かっただろう。 さらにいえばここ何年かで目立ってきたポリコレだのダイヴァーシティだのに辟易としている人もきっといる。ポリコレといって金髪碧眼のイメージだった中世ヨーロッパの物語のお姫様を黒人にして誰が喜ぶのだろうか。ダイヴァーシティといって下駄をはかせて要職に女性をつけたところで、一般の女性にとってはどうでもよい話だ。 今回の選挙結果についてはサンダース氏の言った「労働者を見捨てた政党は労働者に見捨てられる」というものが一番正鵠を射ているようにみえる。リベラルと左翼は違う。トランプが庶民の味方とも思えないが、不法移民排斥は実際に職を奪われ、待遇が低下し、治安悪化に不安を持つ庶民層の琴線にふれただろうし、利口ぶったエリート女よりも面白いおっちゃんの方が投票先としてもよいに決まっている。 今回の大統領選は庶民を見捨てたリベラルの退潮の契機になるのかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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