「冬がきたら」
愛媛県で高校教師をしながら、人間として如何に生きるべきかを問い続けた詩人坂村真民( しんみん )氏の詩「冬がきたら」です。 冬がきたら 冬のことだけ思おう 冬を遠ざけようとしたりしないで むしろすすんで 冬のたましいにふれ 冬のいのちにふれよう 冬がきたら 冬だけが持つ 深さときびしさと 静けさを知ろう 冬はわたしに いろいろのことを教えてくれる 先ず沈黙の大事なことを すべての真理は この沈黙のなかからのみ 生まれてくることを それから自己試練の大切なことを すべての事を成就するには この不屈の魂によってのみ 成功することをこの詩について、渡辺和子師は「置かれた場所で咲きなさい」の中で、「『冬』を、『人生の冬』である高齢期に置き換えて、読んでみるとよいでしょう」と仰有っておられました。自己鍛錬をとっくの昔に放棄した愚生の高齢期、耳の痛い詩ですね。