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テーマ:障害児の親として(1428)
カテゴリ:介護
暑い夏を過ぎて
猛暑酷暑の8月も終わり、あっという間の9月です。
2013年も3分の2が過ぎ去ってしまいました。 歳を取る度に、時間が経つのがどんどん速く感じられるような......。 経験を重ねて日常に新鮮味がなくなると、 脳への刺激が減るので、 月日があっという間に流れていくような錯覚におちいるのだそうです。 知らない場所に行く時も、同じ距離のはずなのに、 帰り道のほうが何となく短く感じられますよね。
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記録的な猛暑に見舞われた7月下旬から8月にかけて、 今年の春に亡くなった祖父の初盆のため、 長崎の実家に帰省していました。
前回帰った4月の段階では祖父はまだ生きていましたので、 祖父亡き後の実家で過ごすのはこれが初めてということになります。 長崎には精霊流しという、 故人を供養する伝統行事があります。
初盆には死者の御霊を乗せるための精霊船を川に流し、 お墓にはロウソクを入れた提灯を夜にかけてぶら下げます。 霊魂が戻るべき場所を見失わないようにするためです。
このように、伝統行事にはそのひとつひとつに深い意味があるのですが、 何よりも大切なのは、初盆や年忌法要といった行事を通じて、 亡くなった家族について思いをめぐらせることではないでしょうか。
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お盆の時期にはたくさんの親戚が実家に集まり、 にぎやかで楽しい時間になったのですが、 住み慣れない長崎での暮らしは、やはり不便が残るものでした。
ほぼ1カ月間におよぶ帰省を通してあらためて感じたことは、 住宅面のバリアフリーです。
以前もお話しましたが、実家は昔ながらの日本家屋で、 細かい部分に段差があり、 車椅子ユーザーが暮らしやすい造りにはなっていません。
数年前に祖父が改装してくれるまでは玄関にも高い段差があり、 車椅子をいちいち二人がかりで持ち上げなければならない状況でした。
家屋全体を全面的にバリアフリー化するには、 さらなる時間と資金が必要になるでしょう。
人は必ず、歳を取ります。 そして家というのは、 人が一生を楽しく、充実して過ごすための場所です。 ということは、家を設計する段階から、 バリアフリーの視点が不可欠になってきます。
それは、たんに(段差をなくして平面にしよう)とか、 (歩きにくいから手すりをつけよう)という当たり前のものだけでなく、 もっと個々人のニーズに重点を置いた、 「ピンポイントのバリアフリー化」も意味します。
日中にパソコンを使う時間が多いのであれば、 作業部屋を家の中心に配置し、 効率的な移動ができるように動線を工夫する。
また、一日の中でお風呂が何よりの楽しみなら、 入浴をより快適に楽しめるように浴室のバリアフリーを考える。
肝心なのは、(その家でどのような人生を送りたいか) ということをつねに中心に置くことです。
家に住む当事者自身が主体となり、 自立した暮らしの実現のために、 生活上のニーズをひとつずつかなえていく。
家を考えることは、人生と向き合うことなのです。 自分の住まいを納得のいくかたちでデザインすることで、 毎日が実りあるものになるでしょう。
賃貸住宅の改装についても、 一定額までなら補助されるシステムがありますし、 家賃補助という制度もあります。
自立生活の実現には、 こうした公的な社会保障を存分に活用していくことが必須です。 4月のコラムでも書いたように、 社会保障の手厚さには地域ごとに違いがありますから、 地域ごとの福祉行政を事前によく調べたうえで、 生活の拠点を選ぶことも必要です。
住宅デザインのイメージが具体的につかめない人のために、 (住宅環境コーディネーター)という、 専門の資格を持ったプロがいます。
読んで字のごとく、どうすれば快適な住まいになるかということを、 当事者と一緒になって考えてくれる人たちです。
アイディアを出すのはもちろん本人自身ですが、 専門家の視点が入ればより安心ですよね。
少し前までお世話になっていたヘルパーさんがこの資格を持っていて、 いろいろと細かいアドバイスをたくさんもらいました。
一口に住まいのバリアフリーといっても、 障害の程度や職業は人によって違うので、 その実態もさまざまです。
一人暮らしを目指している人は、まず、 自分の障害を正確に把握するとともに、 どんなかたちで一生を送りたいかを、 できるだけ具体的にイメージしてください。 しっかりとした構想が頭の中にあれば、 その後の 実務的な打ち合わせやデザイン作業がスムーズに進みますよね。
これから新しく部屋を借りたい。 あるいは住居を新築したいと考えている人は、 ぜひ、(住宅コーディネート)という視点を持って住まいを選んでください。 住むところは、暮らしの基本なのですから。
お盆の帰省をはさんだことによって、 気分がリフレッシュしたような気がします。
心機一転、リスタートという感じですね。 このコラムでも、今まで以上に切り口の斬新さを意識して、 タイムリーな記事を発信していきたいと思っています。 ・
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実は今、自閉症の青年が漫才の舞台に立つ、という物語を構想中なんです。 この小説で新人賞を取って作家デビュー ......となれば、理想的なんですけどね。 立石芳樹
1988年、神奈川県生まれ。 生まれてすぐに脳性マヒ(CP)と診断される。 中学校の頃から本格的に創作活動を始める。 専門はショートショート。 趣味は読書と将棋。 ツイッター(@dupan216)も始めました。 座右の銘は「一日一笑」。 【apital】
長男より2歳年下の立石さん。 何も発信しない長男ですが、同年齢の青年の思いは、 参考になる部分が多々あります。
是非、頑張って自閉症の青年の小説で新人賞に 輝いて欲しいです。
ゴールはほど遠くても、 その工程が大切で為になるのでしょうからね。
応援しております。💛
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