里親が養育する子ども、4人に1人が「障害あり」
厚労省が来年度から専門家派遣
里親の家庭に預けられた子どもの4人に1人に
発達障害など何らかの障害があることが、
厚生労働省の調査で分かった。
養育中に初めて障害が分かり、
戸惑う里親も少なくない。
里親が養育しやすい環境づくりに向け、
厚労省は2021年度から、
障害児施設などから専門家を里親宅に派遣し、
支援するモデル事業を始める。
3歳で引き受け「毎日が試行錯誤」
「この子の愛情の入れ物は大きなざるになっている。
その網目をどうにか小さくするのが私に課せられた役割かな」。
埼玉県朝霞(あさか)市の江川千佳子さん(62)は、
里親として10年前から育てている中学1年生の女児への思いを語る。
女児は自閉症スペクトラムと軽い知的障害がある。
特定の食材にこだわり、環境の変化に対応するのが苦手だ。
3歳で引き受けた最初の頃は大人と風呂に入るのも嫌がり、
パニックになり暴れたり、物を壊したりすることも続いた。
江川さんは「毎日が試行錯誤」と言う。
信頼関係を築くまで苦労を重ねて
江川さんは3人の息子を産み育てたが、
「がんで早世した友人がなりたかった里親に私がなる」
と研修を受け、里親に登録した。
義父が園長だった幼稚園で、
障害児も健常児も一緒に育てる統合教育をしていたのを見て、
「障害のある里子も受け入れる」
と児童相談所(児相)に伝えていたという。
6年前には知的障害のある当時8歳の女児も引き受け、
昨年6月まで育てた。
信頼関係を築くまでに苦労を重ねたが、
「また違う子育てだと思うようにした。
その子の成長が見られ、心がつながったときは本当にうれしい」
とほほ笑む。
半数以上が「育てていく中で判明」
厚労省によると、
さまざまな事情で実親と暮らせない子どもは、全国に約4万5000人いる。
その多くは児童養護施設や乳児院などに入所しているが、
里親の家庭で育つ子どもも年々増えており、
2018年2月現在では5382人。
そのうち1340人に何らかの障害があった。
日本グループホーム学会(横浜市)が2009年、
1016人の里親に聞いた調査では、
障害児や発達に心配がある子を養育する里親の57.6%が
「育てていく中で障害が分かった」
と答えた。
育て方などの相談先は、児相の職員が67.1%で最も多かった(複数回答)が、
相談が「役に立った」という人は半分以下。
「突き放された」「児相は里親に子どもを丸投げしている」
との声も上がった。
一人で抱え込まないための支援を
一方で、ほぼ6割の里親が
「障害があっても、受託にためらいはなかった」
と回答。
ただ、
「よほどのバックアップがない限り、
障害児の養育は技術的、体力的、精神的に困難」
との指摘もあった。
モデル事業は、障害児を養育する里親の不安や負担を減らすのが狙い。
障害児施設の職員が里親宅に出向いて相談に乗り、
関わり方など専門的な助言をするほか、地域社会との交流支援も想定している。
江川さんは
「里親は一人で悩みを抱え込んでしまうことがある。
障害児のためのサービスや生活支援、病院の情報なども必要だ」
と訴える。
里親の障害児養育に詳しい札幌市の社会福祉法人
「麦の子会」総合施設長の北川聡子さん(60)は
「里親の心身の安定が子どもの安定につながる」
と指摘。
里親が相談したいと思った時にすぐに対応できる態勢づくりや、
子どもと肯定的に関わっていくペアレントトレーニングの推進を求めている。
[東京すくすく]
実親も我が子の育てにくさで育児放棄する人も
居るのかもしれませんね。
児童相談所もきちんと里親と向き合って頂きたいですね。☄
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