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2011.04.22
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 近影横向き

千葉県房総半島南端に野島崎という岬があります。温暖な南房総の風光明媚な中、東京から近い事もあって観光の名所にもなっています。

この野島崎、昔はその名の通りでした。となったのは、今から308年前の元禄大地震(M8.3)の結果です。海底が隆起して、房総半島と地続きになったのです。

驚く方も多いかも知れませんが、自然界では珍しい話ではありません。火山の話になりますが、鹿児島県の桜島も、大正3(1914)年の桜島大噴火によって、大隅半島とくっついて地続きになるまでは鹿児島湾の中にある島でした。

この元禄大地震、富士山噴火史を書いた時はさらっとしか触れませんでしたが、

・江戸時代の繁栄期の一つ、元禄時代を終わらせた大災害として歴史に記憶されるものだった。
・発生場所が北アメリカプレート最南端相模トラフで発生した海溝型地震であった事から、大正12(1923)年に起きた関東大震災(M7.9)の「一つ前の地震」だった。
・元禄地震の4年後の富士山宝永大噴火(宝永4(1707)年)に繋がる呼び水となった。

という、多くのインパクトを持った地震でした。

地震が起きたのは、元禄16(1703)年11月23日 (旧暦)の深夜0時頃の事です。

「元禄一六年赤十一月廿二日夜九ッ子ノ時、前代未聞之大地震、大地夥敷破レ倒屋不和数、同八ッ半刻津波、出水神明ノ先壱丁死人ヌハ肴ヲ拾フ、内宿サツダ坂下迄家ヲ流ス、安房上総之内ニ而死人都テ一万人余、諸国ノ死人不知数」

とは、千葉県勝浦市にある高照寺の過去帳にある記録です。

簡単に訳せば、「元禄16年11月22日深夜12時頃に、前代未聞の大きな地震があった。大地は大きく裂け、数えられないほどの家屋が倒れた深夜3時頃には津波が押し押せ、人や家が押し流された。安房(千葉県房総南部)上総(千葉県房総中部)だけで死者は1万人に上り、日本中の死者は数え切れない」となるでしょうか

ここで余談を一つ。記録では11月22日となっているのに、なぜ私が11月23日と書いたかですが、現在と当時では日付変更の時間が違うからです。現在は深夜0時で日付が変わりますが、当時は午前4~5時頃に日付が変わります。現代の定義では深夜0時過ぎなので11月23日ですが、当時の人たちの概念では深夜0時頃は11月22日なのです。

さらに余談ですが、忠臣蔵で有名な元禄赤穂事件は、12月14日深夜に吉良邸に討ち入りしています。しかし歴史の本によっては、現代の時間の概念を適用して、12月15日未明と書いてあるものもあります。

確かに現在の時間に直せば15日が正しいのですが、赤穂浪士達が討ち入りを12月14日を選んだのは、主君浅野内匠頭が元禄14(1701)年3月14日に切腹させられた、月命日を選んで主君の仇討ちをしたわけですから、現代人の間隔で「15日に討ち入り」と書いてしまっては、彼らも浮かばれないだろうと思います。

他の現地の記録を見てみます。「高崎浦津波記録」は富山町高崎浦(現在の南房総市)の名主が記録したものです(地震後いつ記録したかは不明です)。深夜の大地震、大津波とその後の描写が生々しく書かれています。以下簡単な現代語訳です。

「日も暮れて夜の12時頃、突然の地震が来た。家中寝静まっていたところを、起きては転びながらやっとたちあがり、部屋の戸を開け後ろへ出た。親子みんな無事に門口に廻った」
「浜台の老若男女が皆円正寺山の西にある平地に上がって小さな松の木にすがった。寝静まった時の出来事なので、あわてて帯も締め忘れ、裸で出ている男女もあった」
「杢兵衛が家に戻ってみると、庭の中に波が押し寄せて腰くらいの深さになって、井げた(四角に組んだ井戸の枠)の縁が少し見えるほどであった。何もかもが海になってしまい、恐ろしいので早く家の中に入り、伊勢神宮のお札を持ってまた寺山に戻った」
「12月1日まで岡の庭で寝起きした。その日、午後四時ごろ浜の家に戻った。痛ましい事に、親は子を亡くし、また子は親を亡くし、夫婦もはぐれ、さらに幼子も波にさらわれ、親兄弟嘆き悲しむ有り様は、なんとも心痛む思いであった。目も当てられず、言葉も消えうせるほどのはかなさであった」
「地震後、10日から15日の間、浜に多くの死人が打ち寄せられた。昼夜犬がその死体を食いちぎって、家の門口までくわえてくるので恐ろしくて外に出られない」

また長柄郡小母佐村(現在の白子町)の医師池上安闊が書き記した覚書(池上家文書「一代記」)も残っています。

「元禄16年11月22日の夜、子の刻(深夜12時ごろ)に突然大地震が襲った。山崩れで谷は埋まり、地割れで水は吹き出るし、また石壁が崩れて家は倒れるし、とてもこの世の出来事とも思えなかった。
こんなときは津波がくるので、早く逃げれば助かる。昔から、津波が来るときは井戸の水が干上がると云われているので、井戸を見たがいつもと同じである。海辺を見れば潮が大きく引いていた。そして、丑の刻(午前2時ごろ)になって、大山のような潮が九十九里浜に打ち寄せてきた」
「数千軒の家が流され、また数万人の僧俗男女のほか、牛、馬、鳥、犬まで溺死した。木や竹に捕まっても寒さで死んでしまった。自分も流されて五位村(現白子町五井)の十三人塚の杉の木に取り付いたが既に寒さで仮死状態であった。しかし、情けある人が焚き火で暖めてくれたので奇跡的に助かった。家財はすべて流されてしまった。明石原の上人塚の上では多くの人が助かったが、遠く逃げようとしても市場の橋や五位の印塔では多くの人が死んだ」
「これからは、大地震の時は必ず大津波が襲ってくると心得て、家財を捨てて早く岡へ逃げること。たとえ近くても高いところだったら助かるのだ。古所にある印塔の大塚や屋根に上った人も助かっている。このことよくよく心得ることだ」

いずれも今回の震災と重なりそうな描写がありますね。

津波の大きさは南房総市や館山市相沢では10メートルを超えたと言われています。震度は現在の千葉県館山市、南房総市で震度7相当、他の房総半島地域は震度6相当、江戸や上総国(現在の千葉県北部、茨城県南部)で震度5相当だったと思われています。

房総での死者は6534人(どの程度が津波による死者かは不明)に上り、地震による倒壊家屋は9610戸、流出家屋は5295戸に及びます。

房総半島以外でも相模湾地域が津波被害は大きく、鎌倉では鶴岡八幡宮二ノ鳥居まで津波が押し寄せ、600人以上の死者が出ています。

小田原では、後北条氏の居城として名高い小田原城の天守閣や櫓などが多数倒壊し、市内の大半は地震後の出火で焼け、東海道の箱根付近は崖崩れが多数発生して、交通が寸断されています。いずれも小田原藩(大久保家11万3千石)の所領であり、一連の復旧で藩の資金を使い果たした事が、4年後の宝永大噴火の際、何の対策も講じる事が出来なくなった原因となります小田原藩領の被害は、死者2291人、倒壊家屋は8007戸に及び(津波の流出家屋の記録は無し)と、房総に次ぐ被害となっています。

また伊豆半島の伊東では、津波が川を遡上して約2キロ上流で堤防を乗り越え(この時の津波の高さは10メートル近くになっていたと思われています)、163人の死者を出しています。前に津波は川をさかのぼるので川辺には近づかないようにとブログで書いた事がありますが、津波の恐ろしさをまざまざと見せつける話ですね。

津波は伊豆大島にも押し寄せています。大島北端の岡田港では流出家屋58戸、死者56人を出しています。また南端に押し寄せた津波は、火口湖(9世紀に伊豆大島三原山の側火山が、マグマ水蒸気爆発して火口湖が出来ていました)の外縁を破壊して火口湖と海は繋がりました。その後周囲の崖を切り崩して整備して出来たのが、天然の良港として名高い波浮港となります。

火山噴火と大津波という、自然の造形によって作られた波浮港は、波が静かで大型船も停泊できるため、風除けを待つ船が安心して使える良港として、この後繁栄していく事になります。

と、話が長くなりました。後編に続きます。






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Last updated  2011.05.04 21:24:55
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