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カテゴリ:火山・地震情報の見方
昨日神戸大が巨大カルデラ噴火と呼ばれる火山噴火が、100年以内に1%の確率で発生するという予測を発表しました。「最悪なら日本の総人口分死亡」と言う見出しをつけた新聞もあって、ギョッとされた方も多かったかも知れませんね。 以下引用します。 カルデラ噴火、桁違い 予測と防災極めて困難- 産経ニュース(2014年10月23日07時59分)
巨大噴火100年以内に1% 「最悪なら日本の総人口分死亡」- 産経ニュース(2014年10月23日07時59分)
日本に壊滅的な被害をもたらす「巨大カルデラ噴火」と呼ばれる火山噴火が100年以内に1%の確率で発生するとの予測を神戸大の巽(たつみ)好幸教授(マグマ学)らがまとめ、22日に発表した。現時点で差し迫っている状況ではないが、最悪の場合は日本の総人口にほぼ匹敵する約1億2000万人が死亡すると試算し、観測や研究の強化を求めた。
引用終わり。 前の週プレの記事と違って、今回は内容にケチつける所がないので、これで終了でも良いんですけどね。少しだけ追記させていただきたいと思います。 巨大カルデラ噴火、破局噴火とも言いますが、これが起きる頻度は、研究者により異なりますが、おおよそ7千~1万年に1度の割合で起きるといわれています。 主な噴火例を挙げると、 ・鬼界カルデラ(鹿児島県。約7300年前) が有名です。 十和田カルデラは西暦915(延喜15)年にも噴火を起こしています。発生した火砕流(毛馬内火砕流)は20キロ四方を焼き払い、日本で起きた有史上最大規模の噴火でした(この時の噴火と二次災害を元に、八郎太郎と三湖伝説が誕生したと言われています)。 破局噴火のリスクは日本だけではありません。海外に目を向ければ、インドネシアのトバ火山が約7万~7万5千年前に起こした破局噴火(トバ・カタストロフと呼ばれています)は、地球を6千年にわたって氷河期に追いやり、人類は絶滅寸前にまで追いやられています(1万人程度まで激減したと言われています。激減したものの生き残れた人類とネアンデルタール人(旧人)はまだましで、原人種はこの時絶滅しました。ちなみに人類が衣服を着るようになったのは、トバ山噴火後、寒冷化した環境に対応するためと考えられています)。 こう見ていくと、巨大カルデラ噴火は発生すれば、日本どころか世界の滅亡を招きかねないものなのですが(現在トバ火山並の噴火を引き起こしそうなのは、アメリカにあるイエローストーンで、1年1センチ程度マグマで隆起しています)、記事にもあるように研究は進んでいません。 内閣府の検討会で、具体策の検討が先送りされていることを、避難する人がいるかも知れませんが、これは見て見ぬふりをしていると言うよりは、想定することが多すぎて手がつけられない状態と言った方が正しいように思います。予算には限りがありますから、毎年起きる災害の予測や対策と、100年に一度起きるかどうかわからない巨大災害への対応では、どうしても毎年起きる災害の方を優先させざるを得ません。極端な例えですが、「巨大カルデラ火山噴火のために予算を全て使ったので、来年は台風の予測は出来ません」とは言えません。研究は少しずつでも進めていく必要はありますが、この辺の兼ね合いは非常に難しいのです。 来るべき日がいつになるかわかりませんが(断定は出来ませんが、多分今生きている人たちが死ぬまで遭遇しない確率の方が高いと思います)、まぁ、考えすぎて気に病んでも仕方ありませんから、肩に力を入れず、日々頑張っていきましょう。 それではまた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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