釜ヶ崎の住民票削除問題と人権
昨日、長年の友人と話すチャンスがあった(飲食店を経営していて、そこに通ってくる人です。)。静岡大学で憲法を教えている笹沼さんという人で、今回の釜ヶ崎の住民票事件にも深く関わり、すでにいくつもの論文や記事が新聞雑誌などに掲載されている。という訳で、詳しい話を聞く事ができた。「今月23日に住所を削除」は延期になったそうだ。(大阪市長は今現在東京で政府と相談している)まず、今回の問題の発端になった事件が、京都で昨年末起こった。ある人が他人の住民票をインターネットで購入し、本人に成り済まし、不正を行い逮捕された。これを切っ掛けに新聞が「釜ヶ崎の3300人 架空登録」ということを掲載してしまった。そして、大阪市役所が実態のない住民票は、職権消除するということになってしまった。大阪の釜ヶ崎は、横浜の寿町のようなドヤ街で日雇労働者が沢山いる。ここに「釜ヶ崎解放会館」ができたのは1978年。 日雇労働者のほとんどは建設関係の日雇の仕事をしているので、仕事があれば全国(世界)各地の建設現場に出張し、仕事が終われば、釜ヶ崎に帰ってくる。一つの場所に定住できない日雇労働者はこの解放会館がいわば唯一の故郷・家なのだ。この解放会館が郵便物の受け渡しなどの支援をしてきた。日雇労働者はここで一泊2000円ぐらいの簡易宿泊所に寝泊まりし、仕事をさがす。不況で長い間仕事がないとこの一泊2000円も払えなくなる。そしてホームレスになる場合もある。解放会館に住所を置く事で、日雇労働被保険者手帳や日雇労働求職者給付金などを受け取る事ができる(1986年以前は住所は必要なかった)。先月市役所での話合いに、行政は法律に則り行うのが当然と主張する職員に対し、労働者たちは、人間としての尊厳の尊重を求めた。>>>>続く