みなさん、こんにちは。
昨日はホンダの新型車の取材に、栃木研究所まで行って参りました。
最近はこういう機会を利用して、安全担当者に「同乗者が踏み間違い暴走したら、助手席乗員には何かできることがあるか?」と聞くようにしているのですが、昨日は新しい事を知ることができました。
ホンダの電子制御パーキングブレーキには、緊急時停止機能があるんです。
今までパーキングブレーキと言えば、手で引いたり足で踏んだりして、その先に付いたワイヤーを引いて機械的に作動させるものがほとんどでしたが、近年はこれを電気モーターで行うようにした「電動パーキングブレーキ」が増えてきました。ホンダはこれを一歩進めて、緊急時には油圧ブレーキとESC(横滑り防止装置)まで動員して、安全にクルマを止められる機能を付けていたんです。
方法は、「走行中にパーキングブレーキスイッチを2秒以上、引き続ける」とのこと。これによってシステムが作動すれば、最大限の制動力が発揮され、ESCによって横滑りやスピンも発生せず、ハンドルも効いて危険回避できる可能性が高まる、というわけです。
「2秒は長いのではないか? エンジンストップ機能のように、細かく3回引きを加えても良いのではないか?」(60km/h出ていたら2秒間に約35m空走します)
と突っ込んだら、「子どもがいたずらして引く可能性もあるので長めの時間設定にしている。パニック時には連続して引くより引きっぱなしになると思う」との返答でしたが、いたずらする学齢の子どもなら、リヤシートに座らせておけばいいし、助手席から手を伸ばせる体格になったら、言って聞かせればわかるでしょう。しかも、パニックの時に2秒間も引き続けるでしょうか? 2秒って、けっこう長いですよ。この機能を知らない場合、引いてみて「あれ、効かない?」と思って、カチャカチャやるんじゃないでしょうか? しかもいたずらで3回カチャカチャ引きするなんてまずないでしょうから、「3回引き」機能を入れておいても、何も問題はないと思います(たぶん1秒あれば3回引けます)。
もうひとつ驚いたのが、この件について、取扱説明書への記載がないこと。「N-BOX/(スラッシュ)やヴェゼルには、最初から導入している」とのことなのに、取説の電子制御パーキングブレーキの項にも緊急時の項にも、この件については触れられていないんですね。
せっかくの効果的な機能なのに、ユーザーが知る機会を与えられていないというのは、お互いにとって不幸なことではないかと思います(もしかすると他社にもこうした機能はあって、取説に記載されていないのかも知れませんが、他社については未確認です)。
ともあれそういうことですので、ホンダ車の電動パーキングブレーキ付き車にお乗りのかたは、ぜひこの機能を知っておいて下さい(他社については調査してお知らせします)。それから、停止状態で構いませんので「2秒とはどれくらいの長さなのか」を、ぜひ操作込みで体感しておいて下さい。
追記
メーカーに確認したところ、取扱説明書の表記はこれが相当するそうです(一度作動すると、引き続けなくてもブレーキは継続されるそうです)。シビックとヴェゼルの取説ですが、ちょっとわかりにくいですよね。ぜひ、もっと分かりやすく、かつ積極的にアピールして下さるようお願いします。機能の性格上、緊急停止の項に入れておいてもいいんじゃないでしょうか。