Psychopathology ~精神病理学(2)~
今日は、精神病理学のクラスです。一週間過ぎるのは、本当に早いなぁ~・・。学校が始まってからバタバタと時間は過ぎていきます。今日の授業では、精神病、ボーダーライン(境界例)、神経症の3つのエピソードを中心に、(特徴、どのような事がおこるか)を社会的に適応能力があるという精神レベルから適応ができないレベルに分けて話しました。まず、社会的に適応能力があるとはどのような事でしょう?今日のクラスでは、次のような事を目安に話しました。(注:あくまでも、エピソードのお話なので、これからお話する事が、たとえあったとしても、特定の病気だとは限りません。まだこの時点では、○○病という事は判断しません)☆仕事の継続・仕事へのコミットメント(義務・責任)・毎日仕事先へ行く(責任をもてる)・時間を守る・社会的スキル/人間関係これらの現実の日常に対応できるというのを目安に(上記のの事ができるか、出来ないか)、精神病、境界例(ボーダーライン)、神経症を見ていきます。○精神病的レベル社会適応能力は低く、現実を見つめる事ができない。・妄想/錯覚 :これは、原因・結果の中で起こりやすい、錯覚に陥りやすい。思い込み。例えば、”私が、○○という通りを歩くと、地震が起こるかもしれない・・”といったもの。・幻覚:これは、ビジュアル的なものもあれば、幻聴、匂いなどがあり、実際には起こっていなくても、何かが聞こえたり、何かが見えたりします。これらのエピソードは、何も精神病(統合失調症など)の方だけに起こるというわけではありません。主に、精神病の方は、幻聴を多く体験しますが、薬物依存の方、アルコール依存の人が、使用を中止した時に、このエピソードは起こります。そちらの場合、多くは、幻覚(ビジュアル、触覚)が起こります。ここで、これらのエピソードがあるからといって、統合失調症だとか、○○病だとは限りません。多くの人は、外からのストレスによって、何らかしらのエピソードが生まれます。そのストレスとは、恐れからくるもので、その恐れに耐性する力の差から(これは、肯定的自己をどの程度保てるかというのも含みます)、どの程度、現実から離れていくか、というのが変化していきます。なので、ストレスがある時に、普段よりも”思い込み”が激しくなったり、トラウマ的な事が起こった時に自分の心を守る為に、現実から離れたりと、色々なケースがあります。この精神病的エピソードと、統合失調症の違いと言うのは、精神病的エピソードの場合は、周りのサポートがあり、セラピーなどで、現実を統合していくうちに、社会的に適応できるようになります。(人間関係を結んだり、仕事をしたり等)○境界例(ボーダーライン)レベルこの場合、神経症と精神病をいったり来たりするという事から境界例という名前がついたようです。そういう訳で、社会的に適応しているかと思えば、精神病的エピソードを持つ程に、社会適応能力も低下したりと、大幅に揺れ動きます。しかし、境界例の場合は、何らかしらの出来事があって(原因)、彼ら自身がそれに反応した結果が、時に精神病的エピソードだったりもします。必ず、その反応が起こった前に、何か彼ら自身を脅かした事があるようです。その他の特徴的な事は、人間関係は結べるものの、やはり激しく揺れ動きます。ある日、Aさんは素晴らしい人だと思ったら、次の日には、悪い人だと思ったり。現実の中での連続性が低く、外の事柄、人に対して非難します。特に、パートナーとの関係性において、これは顕著にでます。なぜなら、このような関係はストレスも多く伴うものでもあるからです。○神経症レベル仕事を維持できて、責任をもって社会生活を送る事ができるレベルです。特徴的なのは、自分自身を責める傾向にあるという事です。そして、思いを巡らせては、心配しすぎたりします。神経症というのは、アメリカでは普通に使われ、殆ど、多くの人は神経症的なものは持っていると思っています。私も、これはよくありますね・笑。(先を考えて、心配してみたり)では、心の健康ってどのような事なのでしょう?現在に生きていて、ストレス・恐れに対しての耐性も成長に伴い増えてくる。気づきも多くなり、物事に対して柔軟的に対応できる。勿論、人生というのは、様々な事も起こりますし、ストレスも毎日の中に存在します。ずっと、健康状態を保つというのも不自然なのかもしれません。色んな事があって、気づきも増したり、耐性も高くなったりもします。その人自身の心のレベル(社会適応を目安としたレベル)は、その起こった事柄の大きさ、そして、その人自身のストレスへの耐性/自己肯定感(叉は、取り組み方)などによっても変わってきます。Aさんにとって大きなストレスとなる事柄があり、境界例的になったり、けれど、Bさんにとっては、Aさん程、大きなストレスとは感じず、境界例レベルには低下でず、神経症的だったりと、本当に様々です。何か、大きなストレスがかかり、自分ではどうしようもなく混乱した時などは、セラピストとのカウンセリングは、その物事へどのように対処するか?そして、自分自身を見つめなおすキッカケになったりするのかもしれません。最後に、防衛機制について話しました。防衛機制とは、誰でも持っているもので、自分自身を何らかの恐れから守り、ストレスを軽減、または、受けないようにする為の心理作用です。話によると、100以上はあるというのです(びっくり!色んな心を守る方法があるんですね!)。けれど、そこまで知る必要はないので、主要な防衛機制について話しました。クラスでは以下の防衛制が挙がりました。・退行 ・Self-depprication (自己非難/自己への向けかえ)・回避 ・否認 ・投影(投射)・Highper Vigilance(高い警戒) ・反動形成 ・攻撃 ・ユーモア ・撤回(身を引く) ・投影性同一視 ・知的化 ・優越 ・置きかえ ・昇華 ・分裂 ・分離/隔離 ・アクティングアウト ・合理化 ・抑圧 ・制止これだけでも、沢山あります。自我(エゴ)が壊れやすかったりする人は、より多くの防衛機制を使い、逆に健康な自我は、使う防衛機制も少ないか、高度なものを使い、自己実現に向かったりします。(昇華などは、高いレベルの防衛機制です)☆否認 :起こった事実を、あたかも起こっていないようにします。例えば、大切な人が亡くなった時に、その人は、今は旅行に行っているんだと思う事です。死という事実を否認しています。けれど、やはり、この場合も、このような防衛機制をつかう事で、自己を守っています。心の準備ができた時に、受け入れるというプロセスが行われた方が、気持ち的には良いでしょう。☆投影/投射 :自分の中にある気持ちを、他人の中に見る。例えば、”あの人は、私を怒っている”実際は、自分が相手に対して怒っているのに、相手が怒っているように思ってしまいます。☆分裂(スプリッティング) :白・黒に物事をハッキリと区別する傾向。それによって、自分を守っています。この場合は、物事の曖昧さに耐える事ができず、全てを白・黒にわけようとします。なので、人への評価も白・黒していて、良い所も悪い部分もあって一人の人間だというのを受け入れる事が難しい傾向にあります。けれど、それをする事によって、嫌な人を避けたりできます。※この分裂は、多重人格障害の分裂(スプリッティング)とは違います。☆反動形成 :抑圧されたものと正反対のものを意識にもつことで不安を解消しようとすること例えば、親に対して怒りがあるにもかかわらず、相手へ過大な愛情を抱き、献身的につくしたりする。☆置き換え :自分の中の気持ちを直接投げかけずに、違うものへ投げかける。多くは、自分より弱い者へ投げかけます。例えば、親へのイライラとした気持ちを、飼っている犬に対してぶつける。(蹴ったりetc..)☆分離/隔離 :観念とそれに伴う感情を分離する。現実感がない。例えば、自分が相手に怒りを感じているけれど、あたかも自分の事ではないように話したり。白昼夢を見がちになったりする。☆昇華 :社会的に承認された価値のあるものへ自分の気持ちを、エネルギーを向ける。例えば、悲しみの気持ちを音楽で表したり、何らかの芸術作品にたくしたりする。今日は、ここまでの話をしたところで時間がきてしまいました。人の心の動きは、環境・起こった出来事、育った過程での自己肯定感/自我の成長の度合いなどから、ストレス/恐れに対する対処の仕方、耐性能力が変わっていきます。それらを、ちゃんと見るようにしないと、それこそ、間違えた診断をしかねませんし、それによって、治療の目標も変わってきます。大学の時に、異常心理学と言うクラスで精神病理は学んだ事はありますが、やはり、今の方がよく理解できるような気がします。明日は、とうとう、アパートの鍵をもらいに行き、明るいうちに掃除をしてしまおうかと思います☆