駆け出し記者の一期一会

様々な国の料理を楽しみ、様々な食材が手に入るゼイタクな日本だが、
もちろん、まだ輸入されていない国の食品もたくさんある。

ポーランドは目下、日本への食品の輸出を推進している。
料理雑誌の「大使館シリーズ」で取材させてもらうにあたって、
ウェブページのほうで、ポーランドの食材をいくつか紹介しましょう、
ということになった。
本誌がビジュアル中心でほとんど文章のない企画なので、
私が書いている原稿は、だいたいがウェブページのほうのコンテンツである。
食文化の紹介や詳しいレシピなどを、ウェブページに掲載する。
それぞれの国が、紹介したいネタを盛り込むことになっている。

食材のプロモーションと言うと、経済担当の美人参事官は俄然張り切った。
ポーランドの豚肉生産高は世界第7位を誇り、ハムやソーセージも美味しい。

そう言えば、このあいだ、ＮＨＫで「里山紀行選～豊かな大湿原の暮らしポーランド」
という番組をやっていた。
春先、雪が解けて水浸しになった土地を敢えてそのままにしておく。
雪解け水こそが、この北の大地を肥やしてくれるのだ。
だから、肥料は要らない。
コウノトリなど、鳥たちが害虫を食べてくれる。
だから、農薬も要らない。
その大地に生い茂る自然のままの草を家畜に与える。
夏はフレッシュで、冬場は干草を食べて、家畜は健康に育つ。
美味しい牛乳やチーズも作られる。
自然との共生を大切にする伝統的な農業では、あり余るほどの収穫はなくとも、
美味しく、安全な食材が生産されるのである。
映像と音楽の美しい番組だった。

…ほかにもいろいろ美味しいものがあります。
サクランボ、ナシ、プラム、ベリー類など、
フルーツのアルコール・シロップ漬けは、大人のデザートにぴったり。
ピクルスも種類豊富です。野菜を保存して冬場に備えるんです。
リンゴもたくさんとれます。お菓子もいいですよ、チョコレートとか。

いやー、いくらウェブサイトでもそんなにたくさんは載せられませんよ。
豚肉関係と、フルーツのシロップ漬けに絞ることにしたら、
クリスマス休暇でポーランドに一時帰国した参事官女史から、
ハムやソーセージの画像や企業のオフィシャルサイトのURLが
メールでどんどん送られてきた。
肉加工品の会社が、7,8社もあったろうか。

これも申し訳ないけれど、全部は無理です。
どれかをセレクトさせたいただきます。ご了解くださいね。

で、どの企業を選んだかと言うと、

ズバリ！　ウェブサイトに英語のページも作っている会社。

どのURLをクリックしても、ポーランド語オンリーのサイトがほとんど。。
言葉の壁に阻まれて、企業や商品の内容を判断するところまでいかないのだ。
日本語がないのはしょうがないとして、
英語版があったのも、肉の業者では2社だけだった。
それでキマリ！
申し訳ないけれど、それをセレクトの基準にさせてもらった。
だって、さすがにポーランド語はわかりませんもの。
日本の一般の読者でポーランド語がわかる人ってどのくらいいる？
ウェブからのリンクをクリックして、
ポーランド語のサイトばっかり出てきたら困惑するだろう？
せめて英語でなきゃ。。見てもらえません。
2社だけと聞いて、そこをなんとか、もう少しほかの企業も載せてもらえまいか、
と頼んできた美人参事官女史もそれで納得してくれた。

昨年夏、イギリスの健康ドリンクのプロモーションのために
同じように企業の情報をウェブに載せた時には、
おおーほとんどのサイトに日本語版があるではないか！さすが。
日本で売るとなると、日本の業者や消費者のために
日本語の情報を整備するわけですね。
ポーランドもそのうち日本語版ウェブも作るだろうか。

逆に、日本の食材でも、海外での販売に力を入れているものには、
ちゃんと英語のテキストを載せたウェブがあるのが普通だ。
例えば、とらやの羊羹のウェブの英語版なんてとっても立派。

ポーランド語のウェブサイトのチェックで難儀しながら、
ひょっとしたらポーランド語のウェブしかない会社のハムのほうが美味しいのかもしれない
と思ったり。言葉を理由に切ってごめんなさい。。

各国のローカル言語をすべてマスターするのは不可能である。
なにか共通の国際語が必要だということを今さらながら実感した。
そして、今のところ、それは英語なのだ。。。