イザベラ 伊莎貝拉
いろんなところで評判よいんです。てなわけで、久々の一日二本、観てきました。ま、一時間半の香港映画二本だし、間が3時間近く空くから大丈夫かな、と思って。舞台は1999年、中国返還直前のマカオ。停職中の刑事、馬振成(杜[シ文]澤)はナイトクラブで張碧欣(梁洛施)と知り合い、アパートを追い出された張碧欣と奇妙な共同生活を送る。張碧欣は彼を父親だといい、馬振成にも心当たりがあるため無碍にもできない。そして、アパートにおいてきた犬の伊莎貝拉を一緒に探しながら、二人の間に不思議な関係が築かれていく。なんかねー、それぞれのシーンの種明かしみたいなカットがところどころで入っているんだけど、その入り具合が絶妙なんだよねぇ。馬振成の回想シーンなんか三回も四回も出てきて、少しずつ種明かしをするティーザー広告のような手法をうまく使ってるなぁ、と感心しきり。マカオの雰囲気は香港とはやっぱり違っていて、ポルトガルちっくな建物やら公園やら、タイル張りの道やら。映画全体の雰囲気も最初は暗いっぽいけど、終盤は明るくなってきて。最初はぎこちなかった二人の関係も、追い出されたアパートから大荷物をうんせっ、うんせっと運んだり、酔っ払ってビール瓶での殴り方を教えたり、犬の死体があったといって一緒に見に行ったりしてるうちに、親密になっていく。親子の関係なのか、男女の関係なのか、それぞれの胸のうちは微妙に入り混じってるんだろうけど、なんかいいんだな、そのはっきりしないテイストが。途中途中で入るマカオ返還直前の警察の不祥事の記事は、きっとこの映画の背景説明の意味があったんだろうけど、ちょっと食傷気味の感あり。だって一回でわかるじゃん?同じ事件の経過を伝えるでもなく、ただ不祥事を並べ立てるのは、やっぱりそのときが特別だったということを強調したいんだろうな。馬振成の同僚の刑事役で黄秋生が出てるとこも見所の一つ。いつも何かしら食べている場面なのが笑いを誘う。ヒロインの梁洛施は、手足がながくすらっとしていて透明感ある雰囲気がマカオに合っていて素敵でした。杜[シ文]澤もだらだらとした中年親父がだんだんと更生?していく様をちょいとシリアス、ちょいとコメディな感じで演じていました。彭浩翔監督、これから要注目です。1/25 シネマート六本木 香港電影天堂