ノーボーイズ、ノークライ(試写会)
あの『チェイサー』に殺人鬼として出ていたハ・ジョンウが妻夫木聡と共演、監督はキム・ヨンナム、脚本は渡辺あや、と日韓合作映画。チンピラのヒョング(ハ・ジョンウ)は、ヤクザの親分であるボギョンおじさんの仕事を手伝っている。それは偽ブランド品とおばさんのキムチを小さなボートで釜山から日本に運ぶこと。日本側ではいつも亨(妻夫木聡)が受け取りにくる。ヒョングは、「ヨボセヨ」と不慣れな韓国語で話しかけてくる亨をヨボセヨ君と呼んで小馬鹿にしているが、怖いボギョンおじさんの前では大人しくなり、仕事が終われば日本で小遣いを貰って遊んでは釜山へ帰る日々。ある晩、亨がなかなか来なくてヒョングが珍しく船酔いしながら待ってたとき、海から女が現れてヒョングを海へと引きずり込む。おばさんのキムチがダメになり落ち込むヒョングに対して、スーパーで買ってきたキムチを代わりに甕に詰め込む亨。甕の中には白いブツがあった。ヒョングはキムチを運んでいたとばかり思っていたが、実はヤクを運んでいたのだ。そして今度のブツは大成生命の重役の娘。いつもどおり亨が受け取りに来て、とあるビルの空き部屋に案内する。しかしそこに追っ手がやってきて、ヒョングはボヤ騒ぎをおこして追っ手を退散させたものの、今度は娘に逃げられてしまう。亨がやってきて娘を見つけるが、今度は娘のチスから「父親を探したら5千万円ずつあげる」と言われて、亨がその気になる。言葉の通じない異国でなすすべもなく亨についていくヒョング。金が必要な亨はヒョングにそのすべてを見せる。ぼけた婆ちゃんとすぐに男と寝る妹、そして父親がだれだかわかりゃしない3人の子供、しかも末っ子は病気もちで手術が必要。こんな家族を背負って必死な亨の姿をみて、ヒョングも一緒にチスの父親探しをしていく。。。ハ・ジョンウと妻夫木聡の共演というところに興味を持って観たのだけれど、むむむ、いまいち乗り切れず。微妙にずれてたかな。怖いボギョンおじさんを裏切ってお尋ね者になってるはずなのに、亨の家はなんか長閑な雰囲気で、実家がばれて逃げ出した後もぼけた婆ちゃんがふらふらさまよい出たり、カラオケ大会で「アジアの純真」を熱唱したり。でもこのシーンが一番好きだったりするんだけど。亨が裏の薬屋を知っているのは組の下っ端だからありとしても、そこにいったら完全に組にばれるでしょ。あと貫地谷しほりの場面も亨のキャラを重層化しようという意図はあるんだろうけど、ストーリーの流れからなんか浮いてるんだよね。ヒョングも絶妙なタイミングのおじさんからの電話で唐突に母親への愛に目覚めるし、まあ一応伏線らしきものは張ってあったけれど、でもねー、ちょっと強引で都合が良すぎじゃない?チスの父親が見つかるとこなんかも思いっきりご都合主義で。好みの問題かもしれないけれど、ちょっとごちゃごちゃしてたって感じかなあ。筋道はったり伏線はったり笑いを狙ったりといろんな要素があって、一生懸命それらの要素を組み合わせて物語を作ったんだけど、ちょっとツギハギが目立っちゃったみたい。自分的には、ごちゃごちゃしててもどこかのタイミングで重要な1ピースがストンとはまって最初から最後まで綺麗に繋がるっていうのが好きだから、よけいにそう感じるのかもしれない。妻夫木くんはほぼ全編韓国語を喋って頑張っていました。ハ・ジョンウも日本語のカラオケは大丈夫みたいです。『新宿インシデント』もそうだけど、日本が舞台なだけに見方が厳しくなるのかもしれない。これが香港やソウル、釜山だったらそれほど合わない感じがそんなにはなかったのかも。公式サイトはこちら。7/28 神保町一ツ橋ホールいよいよです⇒