桜木紫乃「氷の轍」
北海道在住の直木賞作家・桜木紫乃さんの「氷の轍」を読みました。直木賞受賞の「ホテルローヤル」より、この刑事ものの方が好きです。氷の轍 (講談社文庫) [ 桜木 紫乃 ]【中古】氷の轍 / 桜木紫乃2016年、テレビドラマ化された作品なので見た方もいるでしょうね。最初にテレビドラマを見てから原作を読み、何度か読み直しています。北海道釧路市の千代ノ浦海岸で男性の他殺死体が発見された。被害者は札幌市の元タクシー運転手、一人暮らしの80歳。男性の住まいから古い北原白秋の詩集が発見された。詩集に挟まれていた札幌の古本屋の領収書。その領収書を頼りに男性の足取りを調べる刑事・大門真由。大門真由の父もまた元刑事で、脳梗塞で倒れ入院中だった。真由は戸籍上は養女となっていたが、父とは血が繋がっていた。父が他の女性に産ませた子供を、離婚もしないで育ててくれた母。しかし、母とはひんやりとした溝があるのを感じて育った真由。事件を追う背景には、そんな孤独感が彼女を占めていた。北原白秋の詩集から、殺された男性が青森・八戸出身と分かりる。生涯独身で、身寄りもなかった男性の孤独感と親切さが悲劇を招く。何度読んでも飽きないミステリーで、心に残る作品でした。アイヌの血筋をもつ女性を描いた「谷から来た女」谷から来た女 [ 桜木 紫乃 ]桜木紫乃さんが「誰にも書かせたくなかった」作品だそうで、背中に父親が彫ったアイヌ文様を背負った女性を巡る短編集です。昨日、梅干しにしようと梅を2キロ買いました。小粒ですが…半額に惹かれて買ってしまいました。