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カテゴリ:本
西洋古典学のセミナーでイーリアスが取り上げられていた。ギリシア今昔ということでタイムリーな話題のつもりなのだろうか。
西欧の人々に取って本邦の平家物語にも匹敵する古典、メーニアエイデテイペーレーデースアキレーウスの出だしを知らない者はいないと、したり顔でいう人の話は信じてはいない。 小学校の少年少女向けのダイジェスト版にはじまり呉茂一訳、高津春繁訳と読み散らかし、今では土井晩翠訳一択。 ギリシア語?コイネー(ヽ´ω`)ハァ… 何それ?原書なんざさっぱり、な私には独学で完訳を成し遂げた晩翠の偉業は驚異の一言。脳の言語野が時空を越境しとるんかい(・∀・) ギリシア神話の延長上にあったロマンチックな物語として読み始めたものが、読み進むうちにギリシアの文化ならぬ、未だアカイアと呼ばれていた時代の野蛮と暴虐の記述に変容しても、奇妙に心躍らせて読み耽った。 今で言うキャラ萌え要素からいえば、ヘクトールがかっこよさの筆頭で、アキレウスの浅はかさと粗暴さの無双っぷり に幼心にもアキレ、なんてのはシャレにもならない。ジコチューさ加減も強欲おやじのアガメムノンといい勝負でしょう。 * 素晴らしい古典文化を持ちながら、何故現在のギリシアは破綻したのかとしたり顔で言う声。古典という黄金時代は過ぎて現代という鉛の時代に変わったとでも。或いは古典以外の文学も芸術もギリシアは生み出して来なかったとい一見 穿った意見。 それではカヴァフィスは?エリティスやセフェリスの詩は?カザンザキスの小説は? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.07.03 22:19:11
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