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テーマ:ミステリはお好き?(1446)
カテゴリ:Mystery
光文社文庫版で読む。 知らぬ者ない名作、鮎川哲也の代表作ということで本文についてくだくだしく書くこともない。 知らない人いないの前提なので、かなり遠慮なしにチラ裏はネタバレ。 この鮎川ミステリーの傑作あるいは本格ものの名作が、文句なしに面白かったと言い切れない者が此処に若干一名。 事件関係者が皆、鬼貫警部の知人というのは、ご都合主義過ぎはしないか。 恋愛要素をストーリーに盛り込むのは好きでない。飽くまで個人の趣味ですけど。 容疑者の絞り込みが早すぎて、フーダニットの面白さはほぼ期待できない。 というより、本作は精巧で複雑なトリックを描くこと、ハウダニットがテーマのミステリーなのだろう。 犯人はわかり易いが、犯人が用いたトリックは容易には解けない。 読み手は探偵役鬼貫警部ともに犯人の仕掛たトリックに翻弄され、その全容が明らかになるのは最終章に至って犯人の「最後の告白」によってである。 トリックの要諦はトランクのすり替えと、時刻表を利用したアリバイトリックだが、アリバイ崩し苦手、時刻表の読み方わからない私は時刻表の解読は早々に諦めて、トランクの謎だけあれこれ考えてみたがことごとくはずれ。 何となれば、意外性を狙って(?)すり替えてないものをすり替えたかに見せている、トランクは三つ以上存在したのに二つに思わせているとか、推理とは言えない妄念の如く拗れた考えを仇に巡らせていた......んじゃ、どうしようもありませんわー。 それにしても、この本を一度通読しただけでトリックが見抜ける読者ってどれだけいるのだろう。 多分それじゃわかんない!?っていう皆さんのために、付録として巻末に懇切な解説と詳細な諸々の図説が用意してあるんだろう。 もろネタバレのトリック図解まで載ってるってことは、熟考しても手も足も出ず、投了して答え合わせしたい人向きなのかしら(もの凄く親切なような、大きなお世話のような) なおトリックは解りにくくても、文章やストーリーテリング自体は非常に読みやすい。 三人称視点が探偵視点でなく、神の視点に移るところがあるのが、やや違和感だったが、これは好みの問題だろう。 鬼貫警部と相棒の丹那刑事のコンビは中々いい雰囲気を醸しており、探偵役としてのキャラの魅力も十分だし、両人の活躍する他のシリーズも読んでみたい。 PS 妄言ついでに更に言えば、結構キャラ萌え重視、それもイマドキのヘンキャラはお腹いっぱいなので、地味にジワジワ来るお人柄とかが最近の推しなのよね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.04.06 23:11:12
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