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カテゴリ:Mystery
探偵安威和音は、行方不明になった女子高生を捜す依頼を受け、新興宗教『こころの宇宙』の教団施設、心在院へ記者になりすまして潜入する。 深山にある施設の瞑想室掌室堂には、百年前開祖である修験者が施錠された室内から消失したという伝説があった。 そんな頻発する山奥の教団内で起こる密室殺人事件。 10代の少女 是臼真理亜 と雑誌記者の 林 が身体を切断された遺体となって発見される。 真理亜こそ和音が探していた女子高生であった。 警察への通報も儘ならぬ、閉ざされた宗教世界にあって、教祖である14歳の少年、神室密は、自ら探偵役を勤め真相を解明すると和音に宣言する。 密はある信者が二件の密室殺人の犯人だと指摘するが、その者は自ら毒を仰いで死ぬ。 しかし和音はその死は自殺ではなく、他殺であることを見抜き、新たな推理を披露し、真犯人を暴き出すのだった。 -------------------- 宗教施設内で探偵が人探しをするプロットとは、マーガレット・ミラーの「まるで天使のような 」のような? そこで起こる密室殺人のトリックなら、天城一の「高天原の犯罪 」みたいな? などということはなかった。 先行作品を参考にして推理する手はこの際通用せず、新興宗教施設内での殺人ならでは、リアリティ無視の登場人物設定、バカトリック、何でも許されるという偏見を以って読んだ。 大筋においてその通りだったかな。 教団ぐるみで殺人を犯して、隠ぺいしようとしている、つまり全員が共犯者というせんも考えたが、それはなかった。 探偵役密が〇〇という考えも一瞬頭をよぎったが、これはすぐ却下、で正解。 ただしいつもの此方の思考パターンで犯人の正体より探偵の正体が気になったが、気になって当然の結末。 ヘンな人の集まり信者の中にあって、随一まともらしく見えた和音が...そう来たか。 もはや探偵のフーダニットの考察は新本格のお約束らしい。 しかし人物の裏事情まで推理したり想像するのは、無理ってものだろう。 宗教の命題の延長上にあるような、余りにも特殊な殺人の動機、これもわかり得ない。 それを以て意外な動機と呼べるものかどうか。 人間焼失や密室のトリックも実現は無理そうな現象だが、そこは奇跡的?に起こったとでも思えばいいのだろうか。 蛇足ながら、子供が出てくるミステリーは嫌いなせいもあって、密のキャラが気に食わなかった。 がこれも何でもありが前提のストーリとあって止む終えない。我慢して終章まで付き合った。 読み終えて、ロジックがひどく破綻しているわけでもないのに、言い難い不全感、納得のいかなさが残る。 宗教と信仰という得体のしれない論理的整合性なき情念を取り扱った作品の宿命なのだろうか。 万が一にも和音と少年教祖様コンビがシリーズ化されても次は読む気がしない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.02.11 21:41:26
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