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カテゴリ:本
「この作品の文藻のゆたかさと、部分的ながら幻想美の高さと、その文章のみごとさと、今読んでも少しも古くならぬ現代性に驚いた。芸術的にも、谷崎潤一郎氏の中期の伝奇小説や怪奇小説を凌駕する.......」(「小説とは何か」1972年)
と三島由紀夫が高く評価し、澁澤龍彦も絶賛していた本作。 湖の奇城、人間の生血を絞って染める布(きぬ)、仮面の城主、蒼白で痩身の吸血鬼めいた剣士、美貌の女面打ち師、と設定が私の嗜好に嵌り過ぎている。 芸術がどうのこうの、なんてどうでもよろしい。 そんなことは家来どもにまかせておけ(澁澤龍彦調)ひたすらワクワクしながら読んだ。 何より14歳の小姓、高坂甚太郎が登場してきて、主人公であろう武田家家臣土屋庄三郎など、これまたどうでもよろしいほどの無茶振りな活躍をしてくれるのが楽しい。 その傍若無人なこと、がいっそ清々しいほどだ。 いや、仮面の城主こそ主人公であった。 仮面の城主とは何やら、「髑髏城の七人」のキャラ造型に影響を与えているいるような気もする。あくまで個人の感想だけど。 破綻を恐れず縦横無尽に筆を運んだ作者の奇才には確かに驚嘆に値する。 筆が踊りすぎて、収拾がつかなくなって中断して未完に終わったという説もあるほどに。 これ石川賢が漫画化していけれど、どうやって落とし所を付けたんだろうか。 その漫画を読みたい気持ちより、どなたか二次創作で続編かいてくれたらそちらこそ読みたい と妄想が湧いてくる。 妄想だの二次創作だのと言っても薄い本ではなくて、才能と筆力のある作家の手になるものを読みたいです。と、念の為。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.02.28 15:04:20
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