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カテゴリ:Mystery
5件の連続少女誘拐事件の被害者たちの片腕が発見される。しかしなぜかその数は6本だった。
小児性愛者の男が容疑者として逮捕されるも、彼は収監中に自殺を図ってしまう。 ほんとうに彼は犯人だったのか、誘拐された6人目の少女は誰なのか。彼女はいま生きているのではないか。 失踪人捜索専門家ミーラ・ヴァスケスと犯罪学者ガヴィラは謎の究明のためにタッグを組む。 捜査チームの捜査官サラに辛く当たられ、ボリスには言い寄られ、悩みながらも体当たりで犯人と六人目の少女を追うミーラの捜査線上に浮かび上がった「プリシラ」という名の人物は....... しかし一人、また一人と少女の遺体が見つかるごとに、新たな謎が出現し事件は混迷を深めてゆく。 ------------------------------ 描写 人物 設定 非常にバランスが良い構成。 緊密に謎と伏線を描いて鬱陶しい重苦しさがない。 このバランスの良さ、読ませ方の上手い文章、そこに知的節度とか美意識に当たるものを感じる。 ペドフィリアによる犯罪を題材にしながらエロやグロに堕すことなく、被害者家族と被害者感情にも言及することで、物語のテーマを一歩深いものにしている。 犯罪報道のあり方や、事件へ寄せる部外者の関心への辛辣な批判の一席もあって、思わず膝を打ちたくなった。 サラとボリスはいやなやつだなーと当初は思ったが、読み進めるうちに彼らとてプロとして犯罪に真摯に対峙しているのがわかり、嫌悪感が消えた。それにしてもボリス、女にユルすぎるな。 それがイタリア人気質なのかしら。 警察側のその他の登場人物それぞれが個人の事情を抱えているらしく、これも謎の一部として物語に彩りを添えている。 作者は脚本家出身とのことだが、さすがはヴィスコンティ、フェリーニ、ゼフィレッリら優れた映画監督を排出した国のミステリーだけある。 次々と怪しい人物が浮上したと思いきや死亡してしまい、少女の遺体が発見される毎に前段までの推理が覆され、目の眩むようなハラハラドキドキの展開 ← イマココ。 まさに質の高いミステリの条件「発端の不可思議性」「中途のサスペンス」を堪能している真っ最中なので どうか、あっと驚く「結末の意外性」とロジカルな伏線回収で幕をおろしておくれ。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.11.07 23:05:46
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