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カテゴリ:Mystery
ノアの方舟の調査隊にカメラマンとして同行し、アララト山へ登攀した森園アリスは不可解な連続死に遭遇する。
「完全なる記憶力」を持つ天才学者、一石豊は、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の思想が一連の事件の根底にあると推察し謎解きに挑む。 しかし調査隊メンバーはひとり、またひとりと消えてゆき そして、アリスと一石ともう一人が残った....... -------------------- 一石の宗教談義と無神論の主張で相当のページ数が割かれている構成。 無神論者が滔々と宗教の蘊蓄を披歴するって、ベルイマンの映画だか脚本ですか? って滑稽さを感じつつも、興味深く拝聴したいうことにしておくが、宗教学に興味のない人には本作を面白く読ませることは難しいだろう。 嵐の山荘の変奏バージョンで、お決まりの「そして誰もいなくなった」の本歌取りに進取を盛り込もうとしたのだとしたら、ミステリとして余り成功しているとは思えない。 登場人物が少なく、レッドへリングが次々と死んでいき生き残ったのが探偵役とその他二人ではネタは割れている。間違いの推理からの意外な推理による真相も型通りで、やっぱりこいつが犯人!!だという、醒めた感想があるばかり。 犯行動機は意外というより、これまた宗教に関する特殊な知識がないと考察が及ばないというのも なんだかな。 ミステリーの文脈で宗教の本質と神の存在を論ずるのが作者の意図だったのかもしれないが、 意余って、言葉も余り過ぎ、 意欲ばかりが上滑りしているようで空疎な読後感だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.05.02 12:20:25
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