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カテゴリ:Mystery
大学生の宇月理久と篠倉真舟はいとこ同士で、ひとつのペンネーム「楠谷佑」を持つミステリー作家。
真船がプロットを、理久が執筆を担当する二人は、取材のため秩父の宵待村を訪れ、学友の旅路の実家である旅館に宿泊する。 いたるところに案山子の立つ一見のどかなその村で、案山子に毒矢が射込まれる悪戯があったのち 造り酒屋の一人息子純平がクロスボウで殺害され、雪の積もった犯行現場には足跡がなかった。 その翌日には、旅館に宿泊中のミュージシャン明星までが刺殺される。 村内には連続殺人鬼が潜んでいるのか? では 誰が、何故、如何にして、このような殺人を行ったのか。 「読者への挑戦状」でフェアプレイな謎解きを提供する本格ミステリー。 ーーーーーーーーーーーー 往年の本格ミステリーへのリスペクト、特に二人一役の作家の設定から判るようにクイーンへのオマージュが随所に見える。 クイーン大好き、本格ミステリオタの私には、ストーリーの進行中にクリスティその多の本格ミステリー談義がはさまれるのが嬉しかった。 だけど、村社会とそこに暮らす人々の描写に注力しすぎた部分が冗長に流れる嫌いがあったのは残念。 ロジカルな謎ときにはすっきり洗練された文脈がふさわしかろうと、蘊蓄も楽しみたい一方で ちょっとわがままな願望を感じた。 タイトルに揚がっている案山子のガジェットとしての扱い方も弱く、ものたりない。 さらに言えばフェアプレイの精神で、犯人とトリックは推理できようが、動機までは判るとは思えない、無理筋なこじつけ感があった。 文句をつけながらも、両人のコンビのバランスの良さとこの作者の作風には好感が持てるので、シリーズ二作目に期待したい。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.06.16 00:00:18
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