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投資の真髄 ~偉大な投資家の言葉に学ぶ~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 〔 第18号 2006/10/26 〕 657部発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【main contents】 道の中央を行く(ベンジャミン・グレアム) ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 今回は、賢明なる投資家の補遺にある 「株式投資の新たなる投機性」から、 投資で中道を行くことについて考えたいと思います。 ───────────────────────────────―――― 道の中央を行きなさい(Medius tutissimus ibis) この原則は投資家とその投資顧問にも有効であると、 私は考えています。 (『新賢明なる投資家下』パンローリング刊) ───────────────────────────────―――― かつては、企業の信用格付け、 つまり財務的健全性や事業の安定性と、 その投資の安全性はおおむね正比例の関係にありました。 信用格付けの低い企業は投機性が高く、 信用格付けの高い企業は投機性が低かったのです。 しかし、この1958年の講演でグレアムは 株式投資に新たな投機性がでてきたということを指摘しています。 というのは、企業が健全で優良であるほど人気が集まり、 投資家および投機家が群がり値段が釣りあがる という現象が起こってきたのです。 その結果として、かつては安全だった 信用格付けの高い優良企業への投資が 投機性の強いものになってしまいました。 これは当然現在でも当てはまりますよね。 グレアムは縦軸を投機性、 横軸を信用格付けというグラフを描くと、 U字の曲線を描くだろうといっています。 信用格付けの低い企業では、その事業自体に投機性があり、 信用格付けの高い企業では、その信用や 成長性による期待からうまれる人気によって 投機性が高まっているということです。 グレアムはこのU字グラフの中央にこそ、 安全域のある銘柄があるのだということをいっています。 魅力的な企業に投資家も投機家も集中する結果、 中央にある銘柄は本質的価値より 低い評価がつきやすいというのです。 さらに、中央の銘柄だけに対象を絞っても、 十二分な選択肢があたえられるだろうともいっています。 今となっては当たり前かもしれませんが、 投資家の人気や熱狂が、投機性をもたらすという ことは知っていて損はありません。 投機性をさけて中道にある企業に 投資することを心がけたいですね。 ----------------------------------------------------------------------- 【コラム】バリュー投資は中道か? ----------------------------------------------------------------------- 哲学や倫理学の世界では、人の理想的な姿は中道にある、 ということがいわれています。 個人的にその考え方が好きなんですよね。 このコラムでは、グレアムの考え方を発展 (?こじつけ?)させて、 バリュー投資が中道である、 という趣旨でコラムを書いてみます。 おおざっぱに投資家を 3つのグループに分けて考えてみましょう。 第一のグループは、 市場平均と同じレベルのリターンを求める投資家です。 彼らはインデックス投信に積み立てて投資します。 グレアムのいうところの防衛的投資家に近いイメージです。 第二のグループは、とにかくできるだけ大きなリターンを求める 投資家の一群とします。 投機家の多くもここに含まれます。 できるだけ大きなリターンを得るために 取引回数も多く、レバレッジも使います。 第三のグループを、 グレアムやバフェットの考え方をベースに投資をする、 バリュー投資家のグループとします。 彼らは企業の価値と価格の差に注目して投資します。 求めるリターンは、年平均15%~20%程度、 または市場平均プラス何ポイントというところです。 これは、グレアム、バフェット、シュロス、 ルエインなど代表的なバリュー投資家が 実際に叩き出したリターンを基にしています。 かなり恣意的ですが、こうやって3つのグループに 分けるとバリュー投資家の中庸性が浮かびあがります。 まず、求めるリターンについてです。 市場に一番多いグループは、 できるだけ大きなリターンを求める 第二のグループなんだと思います。 一夜で大金持ち、とまではいかなくても デイトレードや信用取引などを駆使して、 短期間でできるだけ大きな利益を目指します。 欲望むき出しの貪欲なグループです。 それに比べると、バリュー投資家であるには バフェットの言葉をかりれば 「抑制された貪欲さ」が必要になります。 より多くの利益を求めつつも、 価値と価格の差に安全域のない取引はしません。 年間20%前後のリターンを求めつつ、 長期にわたって投資し、複利の力で資産を築くことを考えます。 また、市場平均をねらいインデックス投信を買う 第一の投資家グループと比べれば、貪欲であるともいえます。 次にかける労力について考えて見ましょう。 第1グループの投資家は、ほとんど労力がかかりません。 例えば積み立てて決まった投資信託に 投資するとすれば、売買の判断はほとんどいりません。 第2グループの投資家は、日々かなりの労力を投入します。 また判断を迫られる回数も他のグループと比べると桁違いです。 人によっては毎日数十回の判断が必要になるかもしれません。 第3の、バリュー投資家のグループは、 日々知識の積み重ねをしつつ、 いつでもバットを振れるように構えています。 第1グループに比べれば多くの労力を投入しますが、 売買はさほど多くはありません。 労力についても真ん中あたりになるのではないでしょうか。 以上とりあえず2点ですが、 バリュー投資家が中道を歩いている というポイントをとりあげてみました。 この2点からも、バリュー投資は中道であると いえると思うのですがいかがでしょうか。 しかし、中道であることは非常に難しいものです。 人間である以上、むやみに貪欲になったり、 または怠惰になったりしてしまうことは避けがたいものです。 バリュー投資家であり続けるには、 投資の世界で中道にいる必要がありそうです。 そんな「抑制のきいた貪欲さ」を持ち続けられる人が、 どれだけいるのだろうと思ったりもします。 ちなみの僕は怠惰なほうにいきがちです(笑)。 ----------------------------------------------------------------------- 【本日の関連文献】 ----------------------------------------------------------------------- ■ 新賢明なる投資家(下) 新賢明なる投資家(上) ↑今回とりあげた「株式投資の新たなる投機性」が 読めます。 あとグレアムの考えの中でも最も重要な「安全域」が 1章まるごと論じられています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年07月27日 23時11分49秒
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