テーマ:障害児と生きる日常(4433)
カテゴリ:1年以上前をふりかえっての日記
教員2名で生徒5名(途中から4名)を担任していたのだが、T君は、急に脱走してしまうことがあったり(しかもどこに行くか毎回違うのですぐに追いかけないといけない)、足もかなり速いし、靴や靴下を急に脱いでしまうし(しかも道ばた脱ぎ捨て)、着替えの補助が必要だったり、急にパニックから自傷することがあったり…と、かなりマンツーマンディフェンス?の必要があったので、私は一日のうち、彼と過ごす時間が一番多かった。
スクールバスへのお迎えから一日がスタート。バスに入り、放心状態になっているT君に、靴下・靴をはくように指示して…という所で10分くらい…大体最後に降りることが多かった。最初の頃は降りたがらずに(学校いやだったのだろうなあ)泣いているのを落ち着かせる所からスタートだった。「今日も勉強だぁ、楽しいぞー」と言いながらも、もう一人の自分が「いや、そんなに楽しくもないと思うよ」とツッコミを入れてしまうので、負けずにテンションをあげたり、そっとしていたり…と日によっていろいろ演じて大変だった。 行きたくない気持ちもあってか、バスに乗っている間にのどに手を入れて吐いてしまう…というようなこともあり、そういう時に限って、甘えて抱きついてくれたりするので(笑)、朝からゲロ臭いただならぬ関係になったりしていた。 教室で荷物を置いたり着替えたりした後、いつもの係仕事のスタートだ。保健カードを届けたり、ゴミ箱を持って遠くまで捨てにいったり。これが果てしない道のりの時もある。でも慣れていくうちに、「自分の仕事だ」「終わればほめられる」という責任感が出てきて、バスで調子が悪くてもがんばれる日が出てきた。 いっぱいいっぱいの時は、「お仕事終わり」となると教室で跳びはねたりゴロゴロしたりの自由時間にするのだが、本人の調子がよくて、時間があって、天気もいい時は、屋上に行って走ったり歩いたりするようになった。彼は、朝のうちに体を動かして発散しておくと、一日「持つ」ことがわかってきたのだ。 行き始めの頃は、彼は屋上(ロの字形)をグルグル走り、私はそれを自転車(小学生用)で先導したり追いかけたりだけだった。何回目かのある日、彼は私の自転車を引っぱり、なんとなく「乗りたい」という意志を伝えてくれたのでそれからは「自転車に乗る」時間となった。とはいえ本人は乗りこなせたことはなかったようなので、補助が大変だ。横から片手でハンドルを支え、もう一方は腰を支えて、まずは「乗っている気持ちよさ」を味わってもらった。初めての時の彼の笑顔は忘れられないくらいにいい顔をしていた…と思う。 そのうち、「こがないと進まないよう」にして、「ハンドル操作をまかせて」とやっていった。ちょっと体育会系が入ってくると乗るのを嫌がることもあり、そんな時は私が自慢げに乗りまわった(おいおい)。1年間で、一人で乗れる…という所までは残念ながらいかなかったのだが、朝の日差しの中、西に山々、東に街なみ(本当は西も東ももっと雄大なものなのだが場所を特定してもらっては困るのでこんな表現)を見ながら、彼と一緒にゆっくり成長した時間は、私にとってもすてきな思い出になったのである。 ついでながら、彼は偏食が多く、すきあらば手づかみで食べてしまうのがうちの子にそっくりなのである。ただ、お盆の上に落ちると嫌いな物でもとっさに食べてしまう…という習性があったので、偏食指導の際にその手を使うこともあった…。やっぱりいけないかなあ…と思いつつもつい。でもお盆はきれいなお盆の上であって、彼が机に落としたりしたものはこっちは止めていた(彼は食べるとアピールして怒るが)。ちなみにそんな所も我が子はそっくり…好きな物限定とはいえ、なぜか落ちたものから先に食べる。誰もとらねえよ! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005/10/24 09:28:48 PM
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