158261 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

プロフィール

ふろぷしーもぷしー

ふろぷしーもぷしー

カレンダー

サイド自由欄



little_heart.gif


thumbnailリュキア伝説

リュキア伝説・本館

☆完結しました☆



rykia_contents.gif




鬼の棲む街バナー.gif



little_heart.gif






thumbnailレグルス王

真魚子さまの絵



thumbnailトキ

エメラルドeyesさんのブログ
『ねこマンサイ』
で紹介していただいた、
ふろぷしーもぷしーの過去日記
『迷い犬を保護してしまいました』2008.6.19~10.7



thumbnail鮎屋トキ

『いっしょに歩こう!』
2008.12~2009.1


キーワードサーチ

▼キーワード検索

バックナンバー

2024.11
2024.10
2024.09
2024.08
2024.07

楽天カード

お気に入りブログ

五匹の子豚 アガサ・… 千菊丸2151さん

小説「ゲノムと体験… マトリックスAさん

コンドルの系譜 第… 風とケーナさん

パンの日々 nako7447さん
道楽オヤジのお気楽… 車屋のオッサンさん

コメント新着

ニューストピックス

フリーページ

2014.04.03
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類

 三人に見捨てられた衝撃は、大きかった。

 それは、ミケにとって、生みの母よりも確かな命の原点、何よりも大切な、幸せの記憶だったのだ。

 それを粉みじんに打ち砕かれてしまっては、残るのは絶望ばかり。 

 もう生きている意味もない、と思った。

 あの時珠子お嬢さまの決断でこの命を救われてこれまで長生きできた、幸せだった記憶すら徐々に薄れ、その幸せの記憶こそが幻、長い長い一夜の夢の中の出来事のように思えた。



 雨の中、力尽きた子猫は、本当はあの時死ぬ運命だったのかもしれない。


 

 ふらふらとその場に倒れこんだミケの耳に、幻の声がささやく。


 わかったか?

 人間とは、みな、かくも頼りない生き物だ。 気まぐれのみで行動する。

 お前は、これまで人間に愛され、守られていたと感じていたかもしれないが、それも、相手が信ずるにたりるものだったからなどではない。

 見よ、すべてはこやつらの気まぐれの結果、単なる偶然の産物に過ぎぬのだ。


 次第に薄れ行く意識の中、そうかもしれない、とミケはしみじみ思った。




 幻の声が甘く、優しく、ミケをいざなう。


 私にも、人に愛され、自分は幸せだと思い込んでいた、そんな時期があった。

 しかし、そんなものはすべてまやかし、私の勝手な思い込みに過ぎなかった。


 私がこの世で唯一、信じるに値すると思っていた人間は、私が事故に遭って死ぬや、あっという間に私のことなど忘れ去り、厄介者がいなくなってせいせいしたと言わんばかり。

 人恋しさに、声を限りに私がどんなに呼んでも叫んでも、その声が相手に届くことはついになかった。

 私がどんなにさびしく、むなしい思いをしたか、今のお前ならわかるだろう。

 


 ここに集まった霊たちはみな、今のお前や私と同じ心の痛み、絶望を味わっているのだ。

 わかったら、おまえも、さあ、こちら側に来るがいい。

 ここは決してさびしい闇の世界などではないぞ。

 同じ苦痛を味わった仲間たちがたくさんいる。

 人間などという頼りない生き物のことは忘れて、さあ、こちらへ、私のもとへ、おいで、ミケ。



 真っ黒な絶望と、安穏が、静かにミケを押し包んだ。

 

 

ミケ倒れる

 

 

 


人気ブログランキングへ

 






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2014.04.03 19:12:24
コメント(2) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.
X