みどりの月 角田光代
紹介文恋人のキタザワに誘われ、同居することになった南。ところが、そのマンションにはキタザワの遠い親戚マリコとその恋人サトシが住んでいた…。成り行きまかせで始まった男女四人の奇妙な共同生活を描く表題作ほか、別れの予感を抱えた若い夫婦があてのないアジア放浪に出る「かかとのしたの空」を収録。今を生きる若者たちを包む、明るい孤独とやるせない心をうつしだす作品集。みどりの月価格:540円(税込、送料別)角田さんて、こんな作風だったっけ?オビにもあるけどこの作品(中編2作)の主人公はどっちもイライラしどうし。そんな主人公にすらこっちはイライラするよ!何にイラつくかというと、怠惰でいい加減で責任感なんぞまるでなく他人に依存すること、楽して生きることのためにならなんでもするしー、プライドなんかないしー、という登場人物たちはもちろんイラつくんだけれども、そんな人たちに関わってしまってイライラしながらなかなか関係を切ろうとしない主人公二人にもイラっとするのよね。なんて言っても、付き合っていた彼氏(一見普通に働いている)が同棲してみたらとんでもないいい加減な奴だったと判明してもなかなかスパッと別れるのは難しいですけどね、実際。ただ、そこの判断をサクッとできる人にワタシはなりたい。だって相手は変わらないもの。変えようとする努力も変わってくれるかもという期待も無駄だもの。2話目の主人公はどうしてまた、人生逃げてばかりの旦那に執着するのか。きっと自分の思っていた旦那のことを諦めきれないんだろうなぁ。でも、それ幻想だから。本物の旦那は目の前にいるわけのわからないオトコだから。サクッとmove on!人生は短いんだぜ!それに、次にあった時には「そのときこそ私は犬のように尻尾をふって彼に走り寄り、なめまわし、覆いかぶさり、思うさま泣きわめくのだ」と決心しているのだけれど、どうしてそれを嫌という程一緒にいたその間にしなかったのかしらね?人生は短いんだぜ!愛情を出し惜しみしている暇なんかないんだぜ!話はそれましたが2話目の「女」って1話目のマリコなのかしら?「恋人よ」を歌い出したところで気がついたのだけれど。あぁ、マリコあんたは一体どこにいくのやら。絶対に関わり合いたくないタイプの人間です、マリコ。関わったら最後徹底的にたかられそう。経済的にも精神的にも。本文にもあったけどまるで妖怪。