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2011年02月03日
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カテゴリ:よかよか
ぼくは見たんだ。

たんにんの井上せんせいはロボットだった、っていうことを。



だって、放課後の教室で、
体からコンセントをのばし、
電げんにさしこんでいたんだもん。


井上センセーはおばさんせんせいだ。


五十歳という子も、
六十歳という人も

「いや、八十歳だ」
といいはる子もいる。


いつも、同じくちょうで話す。
怒っているという人も、
てれやなんだ、という子も、

「じつはボケてる」
といいはる子もいる。



朝も気がつくと教室にいて、

放課後も気がつくと教室からいなくなっている。


給食の時間は、ただえんえんと丸つけをくり返し、
いつ、給食を食べているのかわからない。


休み時間は、
次の時間の教科書をじっと読んでいる。



笑っているのも、ないているのもみたことがない。


日曜日に何をしているのかだれもしらない。


ずっとふしぎでしかたなかった。



ある日、忘れ物をしてしまった。

ほんとうはいけないけれど、
ぼくは教室にしのびこんだ。



引き戸をゆっくりと開けたら、
工場のようなにおいがした。


教卓から煙が出ていた。


目を細めると、
井上せんせいから煙が立ちのぼっていた。



「せんせい!」
ぼくはかけよった。
せんせいが火事になったのかと思ったからだ。


よく見ると、
にあわないと思っていた
ジャージのすそがめくれて、
そこからコードが延びていた。


コードは電気のプラグと、
井上せんせいにさされていた。



ぼくらは目が合った。




「マッテクダサイ」
恐怖におびえ、逃げようとしたぼくを
井上センセーが
追いかけようとした。



ところが、
落ちていた黒板消しにつまづいて、

前のめりに転んだ。


コンセントがはずれた。

せんせいは倒れたまま固まった。


ぼくは怖かったが、せんせいを助けることにした。




「アリガトウ」



ぼくがコンセントをさしてあげると、
せんせいは初めてそんな言葉を使った。



「スベテの センセーが プログラムされているのです」
せんせいは、ゆっくりと立ち上がった。



「わたしたちセンセーはみんなロボット。
 よく怒鳴るセンセーは怒鳴るように、
 いやみを言うセンセーは
 いやみを言うように決まっているのです。
 それはすべてあなたたちに経験をさせるため、
 あえて演じているのです……」



「わかってください」
せんせいは、さようならと教室を出て行った。



あわてて追いかけたがその姿はなかった。



翌日、教だんには新しいせんせいがいた。



このセンセーのプログラムは何だろう、
と考えた。


そして井上せんせいは今、どこで、
何をしているのか、
とも考えた。




井上せんせいはよかよか

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最終更新日  2011年02月03日 05時09分54秒
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