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2024.08.03
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カテゴリ:I whisper
さんざんわがままをグダグダ言い、
入院を2週間以上引き延ばした虫けらは、
次の診察日を前に緊張していた。

また造影剤CTを撮らなければいけないし、
その結果によっては、
怖い主治医から厳しい(冷たい)言葉を投げつけられるかもしれない。

そして、いよいよ覚悟せねばならない事態になるかもしれない。

2週間の間に、処理しないといけないことの
2/3以上を処理できたし、
あとは、こちらからはどうにもできないことばかりなので、
できることをやったと思う。

しかし、それは怖い主治医のあずかり知らぬことだし、
細かなことは言っていない。
いまさらそれらを提示して
許しを乞うつもりもない。

許しを乞うも何も、
それで状態が悪化することも覚悟していたし、
自分の判断で日延べしたのだ。

しかし前回、怖い主治医は

「僕も甘いな。
無責任な言い方やけど、自己責任やわな。
それを許した僕も共犯やけど」

と言ってくれた。

もちろん虫けらもそれを理解していると言った。

だから、状態が激しく変化していたら、
怖い主治医も責任を感じてくれる可能性がある。

…ないか。

次のステージに入ったことを告げられて、
ほぼ強制的に日程や治療方針を決められるだけだろう。

ま、そういういつもの葛藤とともに
2週間を過ごし、さすがに診察前の数日は緊張した。



かくして検査・診察当日。

ジタバタしても仕方ないが、
CTの結果が気になる。

前回と変わっているのか、いないのか。


造影剤CT撮影は滞りなく終了し、
待合室で待つ。

意外にも早く名前を呼ばれた。
静かに診察室に入った。
いつもなら、きちんと挨拶するのだが、
「失礼します」と小声で言うだけで、丸椅子に座った。

怖い主治医はCT画像を見ている。
虫けらも画面を見る。
しばらく沈黙が続く。

怖「まぁ、2ヵ月前とそんなに極端に変わってないかな」

虫けら、少し安心する。

今回は、口を開くまいと決めていたので、
怖い主治医の言葉が続く。
虫けらは頷くか、「はい」としか言わない。

怖い主治医が一人で喋って、かなりの時間が過ぎた。

虫けらは気づいた。

怖い主治医の言葉と言葉の間に「スー」という呼吸を入れる。

これは、多分次に言うことを考えているか、
言葉を選んでいるのだと思う。

これまでにはなかった。

サドなのに、気を使っているのだな。
知らんけど。

ひと通りCTに関する説明を終え、やおらこちらに向き直り、
少し笑いながら口を開く怖い主治医。

怖「天神祭、終わりました。
  あとはお誕生日ですか?
  来週ですか?
  先に言うとこ。おめでとうございます。
  明日の淀川の花火は関係ないか?」

おもろいやないかい。

確かに「天神祭」と「誕生日」は、日延べの理由にした。
ふーん、覚えているのだな。
淀川の花火を付け加えるところ、ユーモアに富んでいるわ。

やればできるやないかい。ええで、先生。


怖「で、どうしましょう…って聞くからあかんねんな。
  僕が何日にしましょ、って言えばいいんやな(笑)」


ほほう。
学習しとるやないか。
ちょっと後悔してるのかな。
怖い主治医に似合わんやさしいお言葉。
感激してしまうでぇ。



虫「病院はお盆休み、ないんですか?」
怖「ないです。施設としては、休みません」
虫「先生はお休みになるでしょう?」
怖「僕は出てきてます」
虫「あらららら…」
怖「あらら、計算狂った?」


おお、やるやんか。
口調も大阪的やで。

部長先生がお盆休みに出てきてることに敬服したんやで。
決して、入院をまた日延べしたいのんと違う。
伝わらへんですんませんなぁ。



というやり取りをしつつ、
入院の日取りを決定し、手術の内容など必要な説明を全部聞いた。
逃げも隠れもできなくなった。


ふと、検査待ちのときに待合スペースで手にした
パンフレットのことを思い出した。
病院の「がん医療」に対する取り組みを記したものだった。
A3二つ折りのありきたりなものだが、
内容がひどい。視点が定まっていないし、
病院発信にはなっていないのに、
病院の医療体制を賛美したり、肯定する内容になっていない。

とにかく、最後まで読んでも、2度読んでも、
「ふわっ」とした感じから抜け出せない。

言いたいことがわからない。

文章が拙い。

基礎知識がないからか、突っ込んだ表現ができていない。

私なら、もっと魅力的なものがつくれるだろうと思う。

第一、当事者であるがん患者の私が見ても、
何一つ心に響く文章がないのだ。
致命的ではないか。

怖い主治医が必要書類をプリントアウトしている間に
パンフレットを鞄から引っ張り出して、

虫「これは、病院がおつくりになったものではないですよね。
  この原稿は先生がお書きになったもの? 違いますよね」
と聞いた。

怖「つくったのは、病院ではないです」
虫「取材協力という形ですか」
怖「そう。ここの原稿は、僕が…全部書いたわけじゃないけど、はい、僕が書いたものです」

怖い主治医が登場するページがあるのだ。
顔写真入りで。
しかし、医師が主張する内容ではなく、
誰かがインタビューしたような表現になっている。
なのに、どうも謙虚すぎる内容なのだ。
こういうものは、データや実績に裏打ちされた
強い主張がPRポイントとなる。

「主張」が全くなく、とても謙虚な表現だ。
例えば、「○○を導入することによって、ようやく及第点の体制となりました」
言葉は違うが、こういう表現。
本来なら、「医療体制の充実のために、本院では○○を導入。
地域のがん医療の一翼を担っています」
といったような強い表現を用いる。
これは医師、もしくは病院視点。

同じことを言っていても、
肯定感を出さなければ大変弱くて頼りない表現になってしまう。
しかも、医師発信なのかインタビューなのかわからない、
とにかくもやっとした文章なのだ。

このパンフレットをネタに怖い主治医と話をしていたら、
とても普通の人間の会話ができた。

病気を介した会話は怖い主治医と虫けらの関係を
どうしても解くことができないし、
言葉も口調も上下関係ができる。

しかし、印刷物という第三者を挟んだ会話は
とても自然で、普通のやり取りになった。

もちろん虫けらは終始敬語だが、
怖い主治医はタメ口調で、

怖「下手くそ、っていうこと?」
怖「これ、僕見たことないわ」
怖「あの辺まで含めて、そう言うんやわ」
怖「一駅で3つあるからな」

計算したところ、怖い主治医は虫けらより2〜3歳年下。

ま、タメ口でもよい。

虫けらは、オケラからコガネムシに昇格したのかと思うくらい、
自然な会話ができた。
次はカナブンになれるかな。

うむ。


と、ヘラヘラしていてはいけない。

入院したら即手術、そして恐ろしい治療が待っている。

楽しい時間はもう終わりなのだ。

そして、一生、こういう平穏な時間は戻ってこないかもしれない。

それが、がんという病なのだ。


                     合掌





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Last updated  2024.08.07 13:48:22
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