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カテゴリ:経済・ビジネス
私は小学生の頃、社会科の授業で自分たちの住むまちについて調べるとき、
自分たちのまちが「電気のまち」と呼ばれていることを知り、 班のメンバーで、直接ある会社にインタビューに行ったことがある。 そこの担当者の方は、小学生を相手に、一生懸命色々と説明してくれた。 そのとき、自分たちがいる、その場所こそが、 その会社の本社だと言うことを聞いて、心の底から驚いた。 だって、日本に住んでいる誰もが知っている大企業の本社が、 そんな身近なところにあるなんて、小学生の私は思ってもいなかったからだ。 私は中学生の頃、野球部には入らなかったけれど、 気の合う仲間たちと、休みの度に草野球に興じていた。 ただ問題は、野球が出来る広い場所がそんなにたくさんあるわけではないことと、 そんな草野球チームを相手に、試合をしてくれるところなんて、そうはないことだ。 そんな私たちの相手をしてくれた人たちがいる。 私たちの仲間の一人が、近所にある大きなグラウンドを所有する企業の社員さんと仲良くなり、 その人を通じて、そのグラウンドで練習をさせてもらったり、 ときには、子ども相手に試合までしてくれたのだった。 そのグラウンドも、その横に立っていた大きな工場も、今はもうない。 そこには、現在、イオンモールや高層マンションが建ち並んでいる。 そして、そのグラウンドや工場を所有していた企業自体が、 私が小学生のときにインタビューに行った大企業に吸収されてしまった。 *** 本著は、三洋電機という大企業が、どうしてなくなることになったのか、 どのような経過で、パナソニックに吸収されることになったのか、 そして、その後、三洋電機で働いていた人たちは、どうなったのかを描いたものである。 私の中では、もちろん、現時点で、今年一番深く心を揺り動かされた一冊になった。 本著を読んで、三洋電機の精神は、まだまだ色んなところで、 形を変えながら、今なお、存在し続けていることが分かった。 我が家でも、オーブンレンジ、ICレコーダー、エネループは現役バリバリだ。 それでも、本著の表紙の写真を見ると、本当に寂しくなってしまう……。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014.08.05 12:14:21
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