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テーマ:たわごと(26648)
カテゴリ:雑考生活
最近、世間ではぼちぼち話題になり始めたようでちょっと気になっているのだが、それは何かというと、今年の秋に東京に(大阪も?)オープンする予定の『キッザニア・ジャパン』である。キッザニアというのは、簡単にいえば「オトナの社会をそのままミニチュアにしたテーマパーク」である。以下、キッザニアの公式サイトのコンセプト説明からの抜粋である。 おしごと体験タウン キッザニア キッザニアは、こどもがいろいろなおしごと、社会体験にチャレンジして楽しんでいく新しい形のテーマパークです。1999年にメキシコでオープンしたキッザニアは、その楽しさで現地のこどもたちに大人気に。小学校の課外授業としても取り入れられ、教育的効果も各方面で注目されています。そんな話題のテーマパーク「キッザニア」が2006年秋、日本に上陸します! 50のパビリオンの中からおしごと、社会体験選び!店員もこども。お客もこども! キッザニアは、現実社会そっくりのこどもの街。施設内には、空港、テレビ局、新聞社、警察、消防署、病院、獣医、銀行、美容室、お菓子工場、コンビニなど約50種類のパビリオン(お店や仕事場の施設)がこどもサイズで立ち並んでおり、こどもたちは自分の興味のあるパビリオンで、おしごとや社会体験にチャレンジできます。 実物そっくりのおしごと体験 各パビリオンでは、こどもたちの年齢や興味に合わせて、さまざまな種類、難しさのアクティビティ(具体的なおしごとや体験)が用意されています。パイロットになって飛行機を操縦、アナウンサーとしてニュースを読む、消防士になって消火活動、保母さんになって小さい子の世話をするなど、こどもにとっては大人の世界で一度は体験して見たかったものばかりです。 道具からユニホームまで臨場感たっぷり パビリオン内のインテリア、設備や道具も限りなく実物に近く、臨場感のある環境がこどもたちの興味、チャレンジ心をかき立てます。働く前には、そのおしごとに関連したお話や働く上でのルールが説明され、こどもたち一人一人に役割が与えられます。ユニフォームに着替え、インストラクターからの説明をよく聞いて、いざおしごとスタート。大人はパビリオンの外からこどもたちの活躍を見守ります。 いやー、素晴らしいコンセプト。なんか楽しそうやねぇ。おとなのせかいの疑似体験なんて、ぼく、とってもわくわくしちゃうなぁ。なあんてこどもの気持ちになってコーフンしながら街の施設や仕事を色々調べていると、なんかおかしい。「現実社会にそっくり」と言う割には、何か違うのである。 だって、この街にはクリーニング屋がないよ。葬儀屋もないよ。清掃業も廃品回収業もサラ金業も屠畜業も精神病院も刑務所もないよ。いわゆる、どちらかというと世の中で敬遠されがちな職業は、ここにまったく入っていないのである。困るなあ、おとなの都合で勝手に隠しちゃあ。カッコ良くてわかりやすいお仕事を見せてこどもに夢を与えるのは良いけれど、「現実社会」のシミュレーションをさせるのが目的なら、これではちとバランスが悪いんでないかい? 一方、仕組みとしてよくできているなぁと感心するのは、この街を構成する会社やお店は、実際の企業がスポンサードして商品や設備などを提供するのだという。施設側としては、「街づくりに、よりリアリティを」ということだし、企業側の建前は「社会貢献活動の一貫」ということだそうだが、本音はやはり金儲けである。施設には企業からのスポンサー収入が入るし、企業にとっては“体験学習”という体裁をとりながら、自社製品の情報を「こどもの頃から刷り込んでおく」絶好の場所なのである。よいこのみんなは、だまされちゃいけないよ。 ま、こういうことに日頃から深く荷担している我々の業界としては、クライアント様の前ではこんなこと口が裂けても言わないのだけど。 ただ、この「こども←→おとな」世界の逆転発想のアイデア自体は、なかなか悪くないと思う。なので、発展形としては「男女逆転の世界」とか、「健常者とハンディキャッパー逆転の世界」などの体験施設があったりすると、お互いに相手の立場でものを見る視点が育まれて相互理解が深まるので、より平和な社会づくりに貢献するんではないかなぁと思う今日この頃です。 実際、本気でこどもに世の中の現実を体験させたければ、街を歩き、ひとり旅に出させるのがいちばん良いと思いますが。 さあおいで、徹夜ではたらけ、こどもたちよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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