東電が、原発停止により火力発電のための燃料費負担増を主な理由にして電気料金値上げの申請をしている。この値上げの理由に関して、ずっと疑問に思っていることがある。それは、原発依存度が東電よりも高い、北海道、関西、四国、九州電力も原発を停止しているにもかかわらず、なぜ値上げ申請しないのか。大飯原発以外の原発が停止している現在、火力発電の燃料費がかさむことは、東電と同じ環境である。
まず、各電力会社の原発依存度を調べてみました。2010年の資料を電力業界共同データベース検索システムより引き出してみました。2010年の原発発電量と総発電量は、電力会社10社で図-1のようになっています。
図-1 各電力会社の原発発電量と総発電量
図-1のデータから各電力会社と日本全体の原発依存度を計算すると、図-2のようになります。
図-2 各電力会社及び日本全体の原発比率
2010年の日本全体の原発比率は33%であり、東電は32%。四国、関西電力は50%を超えており、北海道、九州電力が50%近くと高い依存度を示している。
このように、東電は原発依存度がそんなに高くないのに、燃料費負担増を理由に電気料金値上げを申請しているのは不思議である。認可機関である経済産業省と結託して、値上げ理由を練り上げたと勘ぐられても仕方がない。我が家の電気料金は、福島原発事故以来電気料金がどうみても高くなっている。今月も前年に比べても1,000円以上高くなっている。電気料金のお知らせの中に、燃料費調整なる項目がある。燃料費調整という項目がある上に、燃料費負担増を理由に値上げ申請とは、まか不思議な理由づけである。
今日、東電カスタマーセンターへ、この疑問をぶつけてみた。「東電は、原発比率が高くないのに、なぜ燃料費負担増を理由に値上げするのですか。関西、四国、北海道、九州電力などは原発比率が東電よりかなり高いのに値上げ申請していませんよ。」と。返事は、しばらく無言の後、「燃料費の負担が増えるからです」と。「なぜ東電だけが値上げ申請なのか」と繰り返しました。「さあ~、わかりません」。「もっと判る方、上司の方とか出してもらえますか」。「上司もわからないと思います」と。「答えられるようにしておいて下さい」と電話を切りましたが、値上げ理由をまともに答えられない東電のテイタラクにはあきれました。
真の値上げ理由は、賠償を含めた福島原発対策は明らかにもかかわらず、なぜ燃料費負担増という、訳のわからない理由をかかげるのでしょうか。ますます東電や経済産業省への不信感が増して行きます。