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カテゴリ:言霊
先日「名古屋の市バスの運転手が、出発時間が過ぎても出発しなかったことを乗客からとがめられて腹を立て、危険な運転をしたあげく、乗客を置き去りにした」という報道を見た。
懲戒免職になったこの運転手は明らかにプロとして失格だ。けれどその時の映像を見て、少し複雑な気持ちになった。 出発が遅れたのは高齢者から道を尋ねられ、運転手が地図を出して親切に教えていた為だった。そして報道では「乗客に早く出せととがめられ」と伝えられているが、実際の乗客の言葉は「はよ出せ、ボケ」という言葉だった。 「はよ出せ、ボケ」・・・出発時間を1~2分遅れた位で、そんな言い方しなくてもいいのに。日本人も堪え性のない国民になったなあ、と思う。そしてこの乗客の周りの人は普段この人の言葉に傷ついているのではないか、とも思った。 去年NHKの朝のドラマ『カーネーション』でヒロインが言っていた言葉を思い出した。見るからに不良という服装をしている孫娘が、近所の不良たちから目をつけられて、嫌がらせを受けた時の言葉だ。 「自分が着る服は、自分をその服にふさわしい場所に連れて行く」 言葉も同じだと思う。自分の使う言葉は、自分をその言葉にふさわしい場所に連れて行く。人を傷つける言葉を簡単に口にする人は、お互いを傷つけ合うような人間関係に身を置くようになるのだと。 気をつけたいのは、親が人を傷つける言葉を簡単に口にしていると、子どもがそれを普通のことだと思って育ってしまうことだ。本人が何気なく使っている言葉に、周りの人が傷つく。でも本人はそのことに気付かない。それはとても可哀想なことだと思う。 「はよ出せ、ボケ」と言った乗客。結果的に目的地に着くのはとても遅くなったはずだ。発した言葉はその目的を果たせなかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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