撃ちてし止まん(19日の日記)
新型コロナウイルス感染拡大の第三波が始まっても政府がGoTo政策を継続したせいで、どこまで拡大すればピークになるのか、まったく見当がつかない状態になっているのだが、五輪関係者はそれでも7月には五輪を実施するという姿勢を変えないでいることについて、文芸評論家の斎藤美奈子氏は13日の東京新聞に、次のように書いている; 東京オリンピック・パラリンピックをめぐる関係者の談話は、先の戦争末期を連想させる。 「東京大会を開催することにゆるぎない決意を持っている」(山下泰裕JOC会長)。「人類がコロナに打ち勝って東京大会を実現することは組織委員会の使命」(森喜朗組織委会長)。「自民党として開催促進の決議をしてもいいくらいだ」(二階俊博自民党幹事長)。「ウイルスとの戦いに打ち勝つ証しを刻んでいきたい」(小池百合子都知事)。「人類がウイルスに打ち勝った証しとして東京で開催する決意だ」(菅義偉首相) 撃ちてし止まん。ウイルスに打ち勝つ。精神論が先行するのは負けが込んできた証拠である。 冷静なのはむしろ市民だ。9日・10日のJNNの世論調査では、東京五輪を開催できると思うかという問いに81%が「できるとは思わない」と答えた。同日の共同通信の調査でも「中止すべきだ」と「再延期すべきだ」の合計が80・1%だ。 昨年来の停滞ムードを払拭すべく、組織委は開催促進の宣伝を4日からはじめたが、気の毒なことに、このキャンペーンに起用されたバドミントンの桃田賢斗選手に陽性反応が出て、日本代表は遠征を断念した。 特攻精神で五輪に突入する気だろうか。ワクチンというカミカゼ頼みの五輪大本営。原爆が落ちる前に中止を決断すべきだよ。(文芸評論家)2021年1月13日 東京新聞朝刊 11版 23ページ 「本音のコラム-撃ちてし止まん」から引用 東京都墨田区ではPCR検査の結果陽性になっても、入院先の病院も都が用意した療養用のホテルも満杯でやむなく自宅療養になっている感染者が8千人を超えたと伝えられています。来月末からワクチン接種を開始する予定で準備は進めているものの、初めて扱うワクチンでどんな事態が起こり得るのか予測も難しく、ウイルスの感染スピードを超えて広く国民に接種するシステムを構築できているのかどうか、疑問もあり、7月までにウイルスに打ち勝つことを展望できる状況ではないように思われます。