年の瀬や水の流れと人の身は‥ 大高源吾(辞世の句)
今年もそろそろこの時期に‥
討ち入りの日の夕方、大歳のすす払いの
「すす竹」売りに身をやつした源吾は、
両国橋で、俳諧仲間の師匠「宝井其角」と偶然会います。
其角は、源吾の身なりを見て、
その落ちぶれようが本当だと勘違いし、
もう合うこともあるまい、と自分の羽織を与えます。
そして、最後に付け句を、と、
橋の上から隅田川の流れをを見ながら、
「年の瀬や、水の流れと人のみは」と出します。
これに対し、源吾は、
その夜が「吉良邸」への討ち入りですから、
「明日 またるる その宝船』と返すのです。
その言葉を聞いた其角はなんと思ったでしょうか?
よもや今夜が討ち入りで本懐を遂げる日であるなどと
微塵も感じなかったでしょう‥
‥