読者が、その本を企画 ・編集した編集者の姿までは想像することがほとんどないように、日常私たちが使っている様々なモノ (プロダクト) をデザインしたデザイナーの姿についても、それを使う側は想像することが少ないのではないかと思います。
私の好きな (関心をもっている) プロダクトデザイナーに 深澤直人さん がいます。 この名前を聞いて 「あっ 深澤さんね」 とすぐにわかる方は、その道の方か、あるいはデザインに興味を持っている方で、きっと多くの方は深澤さんと聞いてもわからないことでしょう。 でも、au の携帯電話 INFOBAR といえば、一度や二度はショップや街中で見たことがあるのではないでしょうか。 (おそらく、この携帯を持っている人も多いかと思います。) これをデザインしたのが、深澤直人さんです。
もちろん、深澤さんはこれまでに多くのモノをデザインしてきているのですが、そのどれもが、一見シンプルなんだけれども、よくよく見ると “なるほどなぁ ~ ” と思わせるところが、私がお気に入りの理由なのです。
私が深澤さんに関心を持つきっかけとなったモノが、この壁掛式CDプレーヤーです (換気扇ではありません、念のため) 。 素人の私には、このデザインの発想はとても斬新に思えました。と同時に、深澤さんとはしている仕事は違うとはいえ、 「こういう発想ができるようになりたい」 とも思いました。
以前にNHKで 「プロフェッショナル・仕事の流儀 -工業デザイナー深澤直人の仕事-」 という番組が放送されて、それを大変興味深く見ました。その番組の中で深澤さんが紅茶のティーバッグをデザインするとどうなるかというコーナーがあったのですが、それがまた、とても面白かったです。
その紅茶のティーバックは日常よくあるものと特に変わったところはないのですが、ただ一つ違う点がありました。 付属のひもの上の部分 (普通は四角い紙が付いている部分) に、紅茶の色をしたプラスチックのリングが付いていたのです。 私は最初、 「紅茶の色をしたリングで洒落ているなぁ ~ 」 と、その程度の印象しかもてなかったのですが、深澤さんのコメントを聞いて、なるほどと思いました。 そのリングの色が、その紅茶の一番飲み頃の色を表していて、飲む人は、お湯の中でその色を目安にティーバックを振ればよい、というデザインだったのです。
人が無意識に行っていること (紅茶でいえば、飲み頃になるまでお湯の中でティーバッグを振るという動作) に注目することがポイントとのこと。 どんなモノのデザインも、そのポイントを見つけることから始める、ということをおっしゃっていたことを覚えています。 とても、勉強になりました。
今後も注目をしていきたい深澤さんのデザイン、これからの展開が楽しみです。