印刷所に初校を入れてしばらくすると、次に再校 (2回目の校正のゲラ) が出てきます。
再校では、初校のゲラを左側に、再校のゲラを右側に置いて、初校での赤字が間違いなく直っているかを一つ一つ確認していきます。 初校では著者の修正が最も多く入るため、赤字がかなり書き込まれていることもあり、印刷所のオペレーターによる直し漏れがないかどうか、慎重に校正を進めていくことが大切です。
初校との照らし合わせがすべて済んだら、次に、本文と図の位置関係 (レイアウト) を確認していきます。 初校から図の組み込みを行なった場合、元は適切な位置関係にあった図と本文も、著者の赤字によって相応しくない位置になってしまうこと (図は元の位置のままで、それに対応する文章の位置がずれてしまったりなど) がよくあります。 そうした場合には、図の寸法を確認しながら文章と図をうまく配置し直し、読者がなるべく読みやすいように赤字 (修正) を入れていきます。
また、再校で初めて図のスペースを入れた場合には、オペレーターが適切な位置に図のスペースをとってあるかどうかを確認し、うまくいっていないようであれば、レイアウトを修正していくことが必要となります。
これらの作業が済んだら、 次に、 ノンブル (ページの番号のこと) がきちんと通っているか、 柱 (ノンブルと肩を並べるようにして書かれている、その章のタイトル) に間違いがないかどうかを確認します。 すべてのチェックが終了したら、初校で行なったのと同様に、再校のゲラを本のように読んでいく作業 (素読み) を行ないます。
初校で赤字が多く入った場合には、赤字の部分と元の文章が意味の上でうまくつながっていなかったりすることもよくありますから、慎重に読み進めていくことが大切です。 そして、読んでいく中で疑問点や質問箇所が出てきたら、また初校のときと同様、鉛筆で書き込みをしていきます。
最後まで読み終えたら、それを著者のところに持っていき (あるいは送付して) 、著者に再校をお願いします。 ここで著者にお願いすべきことは、再校では極力、大幅な修正 (特に、文章や図の削除) は遠慮して頂くということです。 なぜなら、折角のレイアウトが、またガタガタになってしまい、三校 (3回目の校正) で、また一からレイアウトをし直さなくてはならなくなるからです。
もちろん、どうしても大きな修正が必要だと著者に言われれば、それは従うことになるのですが、だからこそ、初校の段階で著者にしっかりと読み込んでもらうことが大切なわけです。
著者から 「再校が済んだ」 との連絡が入ると、編集者は校正を受取りに著者の所に出向きます。 (郵便であれば、著者から再校の済んだゲラが送られてきます。) 著者の校正は再校までというのが一般的であり、この校正が著者の直接の赤字が入る最後ということになります。 もちろん、三校 (3回目の校正のことで、主として編集者のみが行なう) で新たに気づいたことを著者に確認して更に赤字が入ったり、著者が手元に置いてある控えのゲラを見直しして、追加の赤字を言ってくることもありますが、基本的には、これが著者校としては最後となります。
著者から戻ってきた再校のゲラを確認する際に最も大切なことは、初校を要再校で印刷所に入れる前に行なったことの繰り返しですが、大きな修正や削除、図の追加や削除があるかないかということです。 大きな修正や削除がなければ、まずは一安心といったところです。
次の作業は、これも初校のときと同じく、著者の赤字を一つ一つ確認していき、わからない点があれば著者に確認していきます。 一般に校正というものは回数が多くなるほど赤字が減っていくので、再校は初校よりも赤字の程度は減っているはずですから、赤字のチェックは少し楽になります。
本文の赤字と一緒に、図の中に赤字が入っていないかも忘れずにチェックしましょう。 特に、写真などの場合に、「この写真のサイズをもう少し大きく (あるいは小さく) 」 とか 「この部分が中心にくるようにして」 などのコメントが入っていることがあります。その際は、再度、写真のトリミングをして縮率を指定し直すことが必要となります。
当然のことながら、写真 (あるいは図) のサイズが変われば、それに伴って本文にズレが生じてしまうので、どのくらい文章が動くのかを計算して、なるべくページをまたがって文章が流れ込まないように、うまくレイアウトを行なうことがポイントです。
次に、各章の終わりのページ (ノンブル) にズレがないかどうか確認しましょう。 例えば、1章の最後のページのノンブルが10で、2章が11から始まっていたとしても、著者の赤字によって1章のページ数が1ページ増えて11になったら、2章以降が全部ずれてきてしまいます。
これを 「ただノンブルが1つずれただけでしょ?」 と軽く見るのは大間違いで、 どこかに見開き (本を開いた状態) で左右のページに図を入れていたりすると、このたった1ページのずれによって、どちらかの図は次ページにずれてしまい、見開きにならなくなってしまうわけです。 たった1ページのズレに対しても 「どこかのページに何か問題は起こっていないか?」 と思うのが、経験を積んだ編集者です。
以上の確認作業が一通り終了したら、再校のゲラに要三校 (3回目の校正を出して下さいの意)と書いて印刷所の営業担当者に渡し、三校が出るまでしばらく待つことになります。