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2011.06.25
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カテゴリ:Editor's Life


 著者から頂いた原稿を紙の書籍と電子書籍の両方で出版しようとする場合には、
   ・ それぞれの価格をいくらにするか
   ・ 著者の印税率をどうするか
   ・ 電子書籍を販売するプラットフォームをどこにするか
など、いろいろと考えなくてはならないことがあります。
 
 出版社によっては、(同じ紙の書籍ですが) まずは単行本を出版し、その後、それを文庫化して出版といった展開の経験はあるにしても、1つのコンテンツから紙以外の異なるアウトプット・異なる価格・販路で出版するといった経験はほとんどなかったと思います。 もちろん、時代の流れがワンソース・マルチユースに向かっていることを感じていた編集者 (出版社) は多かったと思いますが、それが現実のものとなり、その課題に悩んでいるのではないかと思います。

 上の3点について書き始めると膨大な量になりそうなので、今回は価格のことについて。でも、これが本当に悩むところです。例えば、単行本として刊行したものを、後に文庫本として刊行するといった場合も、より読者層の幅を広げることを狙った展開であり、ワンソース・マルチユースの一つと言えると思いますが、この両者には、例えば1年や2年といったように、それぞれの発売時期に開きがあるのが一般的です。 

 電子書籍の場合にも、紙の書籍との発売時期に開きがある場合には、ある程度思い切った価格設定に踏み切れるかもしれません。 しかし、紙の書籍と電子書籍をほぼ同時期に発売するとなると、それぞれの価格をいったいいくらにするかといったことに悩まされることになります。

 電子書籍には印刷代や用紙代、流通コストなど、紙の本の出版でかかるコストがかかっていない分、価格を低く設定できるのではないかということは確かです。 ただ、そうだからといって、両者の価格差をあまり大きくし過ぎてしまうと、紙の書籍が売れずに在庫として残ってしまうことのリスクも課題となります。

 もちろん、 両者の売り上げの合計 > 両者のコストの合計 となってくれればよいのですが、 このコストというのが問題です。  紙の書籍の場合には電子書籍とは異なり、売れない場合には社内 (あるいは借りている社外) の倉庫に在庫として残ることになるので、在庫として抱えている限り、それがいつまでもコストを生み出す (膨らませる) 要因になってきます。 

 つまり、紙の書籍が売れなくても、その分、電子書籍が売れてくれればよいと単純に考えるわけにはいかないところが悩ましいところです。 また、紙の書籍が早く完売できるように最初から印刷部数を抑えれば単価が上がってしまいますし、刊行したばかりの本を品切れにすることはできませんから、やはり印刷をして在庫を持つことが必要となります。 その印刷部数は、紙の書籍と電子書籍の両方の売り上げ動向を見ながら検討する、ということになるのでしょう。

 それならば、最初から紙の書籍は作らずに電子書籍だけで発売すればいいのでは?と考えたいところですが、現在の国内の電子書籍市場、読者の読書形態の状況では、電子書籍にすることでその魅力が存分に発揮できるという内容のものでない限り、すべてを電子書籍でというのは現実には難しいのではないかと思います。

 ということで、紙の書籍と電子書籍の同時発売を考えるときには、価格や印刷部数を決めるために考慮しなくてはならない要素も多くなり、未経験の出版社を悩ませることになります。 ある程度経験を積むことで、経験則から判断するということになるのかもしれませんが、それがうまくいくかどうかは、いまはまだわかりません。







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Last updated  2011.06.25 22:18:45
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