カテゴリ:音楽
「来過ぎですよねえ」
今月は、オペラの会場でオペラファンの方や業界の人と顔をあわせるたびに、それが合言葉になっていた。 何しろ外来オペラが4つ。他に新国の公演もあったので、合計11回オペラに行った。コンサートも数回あったし。 自宅が遠いから帰宅は連日真夜中。ちっとも仕事ができやしない。 「疲れた」 それも、合言葉だったように思う。 お財布的にも体力的にも、とても行ききれない、というのが大半のひとの本音だろう。 新国の公演、そして月末のベリーニ大劇場の公演など、相当閑古鳥が鳴いていた。 メトやボローニャも演目によっては空席が目立ち、招待券や、「モニター券」なる割引き券を相当ばらまいていた。馬鹿を見るのは、売り出し当初に買ったコアなファンである。 「だめですよね、こんなことしていちゃ」 今日もある業界紙の事務所で、そんな話をしていた。 「お客さんのこと、全然考えてないですよ」 まったくである。一番のオペラファンは、メトにしろボローニャにしろ、早く買えばいい席がもらえると思って、発売当初にちゃんと正価で買っている。一番大切にしなければいけないのは、こういうお客さんなのだ。なのにモニター券だ、あまり関係のない人にまで招待券だ、とは失礼な話である。 「パイは決まっているのに、奪い合っている。このままでは共倒れ」 ほんとに。 何でも、6月に来日公演が集中するのは、シーズン終了間近だからやりやすいという、劇場側の希望があるらしい。 「セットも、運んでくる時はともかく、帰りは船便でもOKだし」 なるほどね。 そのような都合のために、お客の財布や肉体的疲労は後回し、ということか。 また、地方公演を沢山やる場合、そちらでもとをとっているので、東京では極端な話、入らなくても何とかなる、という計算もあるという。 でもねえ、オペラを一般の商品にたとえるのも変かもしれないけれど、消費者のほうを向かない商品は、そっぽを向かれる時が来ると思うよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
July 2, 2006 10:02:26 AM
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