カテゴリ:音楽
何日か前に、兵庫県芸術文化センターの「蝶々夫人」が盛況だった、という話を書いた。
7回公演だと聞いていたが、その後確認したところでは、8回公演だったそう。それで盛況なのだから、ほんとにすごい。1万円ちょっとならオペラを観たいひとは多い、ということである、改めて。 ところで、地方自治体がからんでいるオペラ公演といえば、「東京のオペラの森」がある。 以前ここにも書いたが、石原知事が小澤征爾と仲がいい?とのことで始まったという、東京都が後援しているフェスティバルだ。 ところが、これも以前書いたことの繰り返しだが、東京都が後援するなら、都が関係しているオーケストラである東京都交響楽団を使うと思いきや、オーケストラは「サイトウ・キネン」のような小澤さんのオーケストラ、主な独唱歌手は外国から招聘と、ちっとも地元のアーティストを生かしていない。場所が東京都の持つ、東京文化会館であるというだけである。それでチケット代は最高で4万円近いのだから、何のことはない、中途半端な来日オペラがひとつ増えたような印象である。聴衆不在といってもいいのではないだろうか。げんに、昨年も今年もオペラ公演は空席が目立った。ムーティの指揮するヴェルディの「レクイエム」のコンサートはさすがにすばらしかったけれど(ソリストも凄かったから当然だろう)、東京都の催しでやる必然はあまりないのではないだろうか。サントリーホールのような民間のホールや、オーケストラ自身がムーティを呼べばすむことである。 もっともムーティは、「小澤の頼み」だから引き受けたそうだから、それ以外のところの招聘だと実現しなかったのかもしれない。 だが、繰り返しになるが、自治体のからんでいる公演に、外来の豪華メンバーによる出し物はあえて必要がないと思う。「都民芸術フェスティバル」のような、低価格で良質の公演を提供するのが本来の姿だろう。 かねがね疑問を持っていたところに、兵庫の話を聞いたので、そうそう、と膝を叩いてしまったのである。 コストパフォーマンスのいい有名オペラの公演。東京のオペラファンが成熟しているとはいえ、そのタイプの公演の需要はまだまだあるはず。どうせ税金を使うなら、都民の方を向いた形で使って欲しい。でなければ、払い甲斐がないというものだ。 おっと、神奈川県民の身でごめんなさい。数年前までは東京都民だったので、それに免じてご勘弁を。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
August 1, 2006 11:01:15 PM
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