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加藤浩子の La bella vita(美しき人生)

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August 22, 2006
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カテゴリ:音楽
 「音楽祭めぐり」の旅は昨日で終わり。26日から「続バッハへの旅」が始まるので、帰国はせずにこちらに残ることになった。今日と明日はそのままザルツブルクにいて、「イドメネオ」と「ミトリダーテ」を見ることにしている。

 ところでザルツブルクにきて感じるのは、前も書いたがまず「社交界」。要するに、ドイツの「女性自身」みたいな雑誌(「Bunte」とかに載っている、「ソサエティ」の欄に出るような催しなのである。
 今日も通りを歩いていたら、「音楽祭セット」と書かれたエステサロンの看板を見つけた。顔のお手入れからマニュキア、ペディキュア、「パーティメイク」までついている。要するにそういうことが必要になる場所なのだ。
 
 それから、スポンサーの強さ。
 今日のランチを一緒にした、もうここに10年以上前から毎年きているある音楽仲間の話によると、以前はレコード会社が強かったから、音楽祭の間はレコード会社のブースが出て、新譜の情報とかいろいろ出していたらしい。
 でも今はそんなものはひとつも見かけない。代わりにバーを提供している「ネスレ」のパラソルとか、スポンサーの招待客を送り迎えする、これもスポンサーの「アウディ」の車の行列とか・・・その車から降りてくる着飾った男女を、道路を隔ててみるジモティと観光客。
 「前はレコード会社が力を入れればスターになった」
 とは仲間の話だが、今は何しろスポンサーのおめがね?にかなったひとがスターになるのである。
 その典型が、アンナ・ネトレプコのような気がする。昨年のザルツブルク音楽祭で「椿姫」を歌い、大人気を博した美人ソプラノだ。

 あのときの前宣伝はすごかった。半年以上前から町中にポスターがはりめぐらされていたらしい。
 公演のチケットも、今回きいた話だと闇で80万!までいったという。
 今年は「フィガロの結婚」に出演したが、指揮がアーノンクールだということもあると思うけれど、正価で600ユーロ(9万円)くらいしたらしい。あくまで正価だから、売値はそれ以上になっているはずだ。
 
 ネトレプコは若手のなかではうまいほうだと思うし、容姿もたしかに魅力的だ。でも闇で80万だ正価で9万だなんてばかげている。それくらい、いやそれ以上にうまいひとは何人もいると思うし、容姿だってきれいな人も少なくない。タイプは違うソプラノだけれど、ナタリー・デセイなんて両方そろっていると思うし、最近はちょっとご立派になつたが、バルバラ・フリットリやカリタ・マッティラも両方あると思う。少なくともこの2人はうまさにかけてはネトレプコ以上だろう。
 まあたぶんネトレプコの最大の魅力は、多くの男性が指摘している「色っぽさ」なのでありましょう。
 
 ザルツのジモティの間では、彼女のうわさが絶えることはないようだ。昨年は「椿姫」の共演者が毎日車で通っていたとか、大指揮者、大プロデューサーの子息など、いろんな名前が出ているらしい。インタビュ-で話している「彼氏」だという歌手は「ダミー」だとか。まあこれはあくまでうわさだが。
 まあ、それも女性の勲章といえば勲章だから悪いことではないし、共演者と仲良くなって熱演ができるならそれも同様だろう。
 ただ、普通ならなかなか取れない国籍を数週間でとったとなると、ブーイングも出てくる。日本の新聞でも報道されたし、こちらのテレビのニュースでも流れたらしいが、「ドイツ語の試験も受けないで」と憤慨する声も多いときいた。「よほどお金が動いたのだろう」という声もあった。

 そんなこんなで、お金になるひとらしいので、スポンサーがつく、らしいのである。
 ザルツの「エスカーダ」のショーウィンドーには、彼女がある雑誌の表紙で着ていた「エスカーダ」のドレスと、彼女の大きなポートレートが飾ってあった。
 そうですね、オペラ界のシャラポワみたい。
 でも、スポーツなら誰が見ても勝ち負けがわかるが(八百長ならともかく)、オペラはそうではないからねえ。。。

 「フィガロの結婚」を指揮したアーノンクールが、地元の新聞のインタビューで、真っ先に彼女についていろいろ聞かれ(アーノンクールは本意ではないだろう)、
 「彼女はいい歌手で、真摯なアーティストだが、ディーヴァではない。この数年の騒ぎはメディアに責任がある」と言っていたが、しごくまっとうな見方だと思った。

 私は行けなかったのだが、今年の1月、前のザルツブルクの音楽監督で今はパリのオペラ座の監督をしているモルティエが来日して講演したとき、
 「あるソプラノ歌手を中心に、マイケル・ジャクソンなみに儲けようというプロジェクトが進行している。こういうことはよくない」
 と語ったと、ある雑誌で読んだ。どう考えても、彼女のことではないだろうか。
 みながメディアに踊らされているなかでは、こういう発言が新鮮に聞こえてしまう。何年か前までは、このような感覚がもっと普通だったと思うのだけれど・・・。
 





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最終更新日  January 10, 2008 01:20:54 PM


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