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カテゴリ:茶木の音楽紀行
それから僕は一人で残りのワインをちびちび飲んでいたが、一時間ほどしていつの間
にか眠る事が出来たようだった。 機内のがやがやした音で目が覚めると乗務員が皆で朝食を配っていた。 僕はついさっき眠ったような気がしたが、目の前には食事の乗ったトレーが置かれた 。 なんだか養鶏場でベルトコンベアーの餌を食べさせられている鶏になった気分だった 。 「食べないと持って行かれちゃいますよ」と彼女に声を掛け起こした。 彼女は朦朧とした目で食事を見て「強制的に食べさせられる朝ごはんほど辛いものは ないわね」と言ってスプーンを取った。 でも食べ始めるとぺろりと全部平らげた。 またトイレの列に並んだり、歯磨きしたりしているうちに「間もなくフランクフルと 空港に到着します」と言うアナウンスが流れた。 席に戻ると「ねー!もし気が向いたらふらりと貴方の所に遊びに行ってもいい?」と 彼女が言い、「ええ、いいですよ、でもまだ電話がないので知り合いの日本人の電話 番号を言っておきますね」と言い直子さんの番号を彼女に教えた。 ドイツの地に着き飛行機を降りるとやっぱりまた背の高い外人ばっかりだった。 彼女は「ここでアムステルダム行きに乗り換えるわ、気を付けてね!」と言い僕たち はその場で別れた。 その時後ろから「ミスター茶木?」と言う声がして振り向くと僕より遥かにすらりと 背の高いドイツ人らしき女性が立っていた。 彼女は何かドイツ語で言って、大きめのゴーカートのような車を指差した。 これで飛行場内を乗せて行ってやると言っているようだった。 彼女は僕を横に座らせ、歩いている人たちを横目にものすごいスピードでまず荷物を 受け取りに行った。 日本で係員に案内を頼んだので、どうやらドイツにも連絡してくれていたようだった 。 飛行場を出るとその下にある駅のホームまで着いて来てくれて、その間ドイツ語でい ろいろ話掛けられたが、何一つ分からなかった。 インターシティーで2時間ほど乗るとケルンに着く、駅の上にKoelnerWasser「ケル ンの水」と大きく書かれた看板が見える、やっと戻って来たのだ。 さー、また戦いと努力の日々が始まる。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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