|
カテゴリ:茶木の音楽紀行
ある日昼休みに直子さんが「ねー、クワストフがあなたに一緒にアルバイトをやらな
いか、と言ってくれているんだけどどうする、何だか二人ペアーにならないと出来 ない仕事みたいよ」と言った。 お金が無かったので有難くはあったが、いろいろ不安があった。 僕の視力で出来る仕事か、それにろくに話せない者に つとまるものなのか。 僕が躊躇していると、直子さんが「ごちゃごちゃ考えてないでとにかく一度やってみ なさい、それでだめだったら止めときゃいいのよ」と はっぱを掛けられしぶしぶやっ て見る事にした。 クワストフを呼んで伝えると「よーし!早速次の月曜日からだ、8時前にはディ ーリングハウゼンの駅に着いていてくれよ」と言った。 「8時前って、朝の!」と僕が言うと「そうみたい」と直子さんは小さな声で答えた 。 月曜日の朝5時に起床し、簡単な朝食を食べ、5時半に部屋を出た。 今は10月で外はまだ真っ暗でビール工場の前にある路面電車の停留所で電車を待っ ていても誰もいないし、本当に電車が来るのか不安だった。 しかし電車は時間通りやって来て、車内は明るく何人かの人が既に座っていた。 ケルン駅に着くと6時ぐらいだったが構内にはもう沢山の人が行き来していて、 汽車の時間までに少し時間があったのでスタンドカフェでコーヒーを飲んだ。 汽車に1時間ちょっと乗り、ディーリングハウゼンに着いたのは7時半、それより一 本遅らすともう間に合わない。 15分ほど待つとクワストフの車がやって来て、乗り込むと「おはよう!」と彼は眠 そうに言った。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[茶木の音楽紀行] カテゴリの最新記事
|